俳句の世界
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元禄2年3月27日(1689年)に深川の採荼庵を出発し同8月21日頃大垣に到着するまでが述べられた日本の古典を代表する紀行作品。
元禄15年(1702年)に刊行された。
全行程約600里(2,400km)を約150日間かけて東北・北陸を巡ぐり元禄4年に江戸に帰ったそうだ。
江戸 | 元禄2年春 | 芭蕉庵を引き払う | 草の戸も 住み替はる代(よ)ぞ 雛の家 | |
元禄2年3月27日 | 矢立はじめ | 行く春や 鳥啼(なき)魚の目は泪 | ||
栃木県日光 | 4月1日 | 栃木県日光市 | あらたふと 青葉若葉の 日の光 | |
栃木県大田原 | 4月5日 | 雲巌寺 | 木啄も庵はやぶらず夏木立 | |
4月9日 | 修験光明寺 | 夏山に足駄を拝む首途哉 | ||
栃木県那須 | 4月19日 | 殺生石 | 野を横に馬牽むけよほととぎす | |
栃木県芦野 | 遊行柳 | 田一枚植えて立去る柳かな | ||
福島県白河 | 4月20日 | 白河の関 | 「心許なき日かず重るまゝに、白川の関にかゝりて旅心定りぬ」 | |
宮城県 | 5月4日 | 多賀城 | 「行脚の一徳、存命の悦び、羇旅の労をわすれて泪も落るばかり也」と涙 | |
5月9日 | 松島 | 「いづれの人か筆をふるひ詞(ことば)を尽くさむ」と,ここでは句を残せなかった | ||
岩手県 | 5月13日 | 平泉 | 夏草や 兵(つはもの)どもが 夢のあと | |
五月雨の 降り残してや 光堂 | ||||
5月 | 鳴子 | 蚤(のみ)虱(しらみ) 馬の尿(しと)する 枕もと | ||
山形県 | 5月27日 | 立石寺(山形市山寺) | 閑さや岩にしみ入蝉の声 | |
5月29日 | 新庄 | 五月雨を あつめて早し 最上川(もがみがわ) | ||
6月5日 | 羽黒山 | 涼しさやほの三か月の羽黒山 | ||
6月6日 | 月山 | 雲の峰いくつ崩れて月の山 | ||
6月7日 | 湯殿山 | 語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな | ||
6月10日 | 鶴岡 | 珍しや山をいで羽の初茄子び | ||
6月14日 | 酒田 | 暑き日を海にいれたり最上川 | ||
あつみ山や吹浦かけて夕すヾみ | ||||
6月16日 | 象潟 | 象潟や 雨に西施(せいし)が ねぶの花 | ||
汐越(しおこし)や鶴はぎぬれて海涼し | ||||
新潟県 | 7月4日 | 出雲崎 | 荒海や 佐渡によこたふ 天の河 | |
7月13日 | 市振の関 | 一家(ひとつや)に 遊女もねたり 萩と月 | ||
富山県 | 7月14日 | 那古の浦 | わせの香や 分入(わけいる)右は 有磯海(ありそうみ) | |
石川県 | 7月14日~24日 | 金沢 | 塚も動け 我泣聲(わがなくこえ)は 秋の風 | |
秋すゝし 手毎(てごと)にむけや 瓜天茄(うりなすび) | ||||
あかあかと 日は難面(つれなく)も あきの風 | ||||
7月25日~27日 | 小松 | しほらしき 名や小松吹 萩すゝき | ||
7月26日 | 片山津 | むざんやな 甲の下の きりぎりす | ||
7月27日~8月5日 | 山中温泉 | 山中や 菊はたおらぬ 湯の匂 | ||
今日よりや 書付消さん 笠の露 | ||||
行行(ゆきゆき)て たふれ伏(たおれふす)とも 萩の原 曾良 | ||||
8月5日 | 那谷寺 | 石山の 石より白し 秋の風 | ||
8月7日 | 大聖寺 熊谷山全昌寺 | 庭掃(にわはき)て 出(いで)ばや寺に 散柳(ちるやなぎ) | ||
福井県 | 8月9日 | 吉崎 | 夜もすがら あらしに波を 運ばせて 月を垂れたる 汐越の松 西行 | |
8月14日頃 | 敦賀 | ふるき名の 角鹿(つぬが)や恋し 秋の月 | ||
月清し 遊行(ゆうぎょう)が持てる 砂の上 | ||||
名月や 北国日和(ほっこびより) 定(さだめ)なき | ||||
岐阜県大垣 | 9月6日 | 結びの句 | 蛤(はまぐり)の ふたみにわかれ行く 秋ぞ |