山岳小説・ドキュメント
新田次郎 | 強力伝 | 井上 靖 | 氷壁 | ||
孤高の人 | 松本清張 | 遭難 | |||
点の記 | 天城越え | ||||
聖職の碑 | 夢枕 獏 | 神々の山嶺 | |||
八甲田死の彷徨 | 北 杜夫 | 白きたおやかな峰 | |||
栄光の岩壁 | 高村 薫 | マークスの山 | |||
銀嶺の人 | 森村誠一 | 密閉山脈 | |||
アラスカ物語 | 分水嶺 | ||||
ある町の高い煙突 | 谷 甲州 | 遠き山嶺 | |||
槍ヶ岳開山 | 遙かなり神々の座 | ||||
神々の座を超えて | |||||
蒼氷 | 神々の岩壁 | 泉 康子 | いまだ下山せず! | ||
疲労凍死 | 先導者 | 円山 雅也 | 穂高S壁の殺意 | ||
赤い雪崩 | 幻の雷鳥 | 梓 林太郎 | 立山連峰殺人事件 | ||
笹本稜平 | 未踏峰 | 殺人山行八ヶ岳 | |||
還るべき場所 | 山野井 泰史 | 垂直の記憶 | |||
分水嶺 | 吉村 昭 | 高熱隧道 | |||
その峰の彼方 | 真保 裕一 | 灰色の北壁 | |||
黒部の羆ヒグマ | |||||
雪の慰霊碑 | |||||
小西正継 | マッターホルン北壁 | 沢木 耕太郎 | 凍 | ||
植村直己 | 青春を山に賭けて | 下村 淳史 | 生還者 | ||
羽根田 治 | トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか | 加藤 薫 | ひとつの山 | ||
串田孫一 | 新選 山のパンセ | 高橋 大輔 | 剱岳 ―線の記― |
刊行 | 昭和26年 サンデー毎日に応募 | |
昭和31年 第31回直木賞を受賞 | ||
時代 | 昭和16年 | |
キーワード | 富士山の強力 | |
白馬山山頂の風景指示盤 | ||
50貫目 | ||
大町カンジキ | ||
牛殺しの背負子 | ||
登場人物 | 小宮正作 | 足柄村出身で富士山一の強力 白馬山頂の風景指示盤用の花崗岩巨石をボッカする |
鹿野 | 白馬麓の四谷の強力 , 小宮のボッカに同行する | |
石田 | 昭和7年,富士山頂観測所への赴任で小宮のガイドを受ける | |
ボッカのルート | 二俣 〜 猿倉 〜 白馬尻 〜 大雪渓の末端 〜 葱平(ねぶか) 〜 山頂 | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | いわゆる山岳小説ではない |
文学度(小説度) | 中度 | |
読後感 by Yamazaki |
新田次郎,初期の短編 | |
山を舞台にした ”読み物” という印象 | ||
以後の新田次郎の作品と同様に,いわゆる純文学小説とはジャンルが異なるドキュメンタリータッチの小説 |
刊行 | 昭和44年6月 | − | |
時代 | 大正末期 〜 昭和11年1月 | − | |
キーワード | 単独行 | − | |
早足 | − | ||
地下足袋の文太郎 | − | ||
神港造船所 | − | ||
登場人物 | 加藤 文太郎 | 神港造船所の研修所を首席卒業,設計部第3課で技師 | 山岳会に属さず,厳冬期の単独登山を専門とする |
外山 三郎 | 神港造船所で加藤が信頼する課長で神戸山岳会 | ||
加藤 花子 | 加藤の妻 | − | |
加藤 登志子 | 加藤の長女 | − | |
影村 一夫 | 研修所の指導主任で,後に設計部第3課の課長 | 食わせ者 | |
宮村 健 | 加藤を慕う若者 | − | |
登攀ルート | 厳冬期の立山 | 弘法小屋〜天狗小屋〜室堂〜一ノ越〜雄山〜室堂〜別山乗越〜剣沢小屋(雪崩れ!)〜室堂 | |
厳冬期の北アルプス縦走 | 富山県 大多和峠〜上ノ岳〜黒部五郎岳〜黒部乗越〜三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜黒岳〜野口五郎岳〜烏帽子岳〜高瀬川〜濁小屋〜長野県 大町 | ||
最後の北アルプス | 槍見温泉〜槍平小屋〜槍ヶ岳肩の小屋〜槍ヶ岳〜北鎌尾根:宮村遭難〜天上沢第三吊橋(加藤遭難死) | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 高度 | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
やはり新田次郎の山岳小説は凄い 多分作者の最高傑作であろう。 ただ主人公の加藤にとって唯一最後となる宮村とのパーテイー行は,それ以前の単独行での迫力と比べ展開が異質すぎて,私には納得できなかった。 |
刊行 | 昭和52年8月 | − | |
時代 | 明治40年 | − | |
キーワード | 劔岳初登頂(明治40年7月12日) | − | |
点の記 | 点の記=測量部による三角点設定の公式記録文書 | ||
三等三角点 | − | ||
玉殿の行者 | − | ||
錫丈の頭と鉄剣(昭和34年に国の重要文化財指定) | 南北朝時代? | ||
『雪を背負って登り,雪を背負って帰れ!』 | − | ||
登場人物 | 柴崎 芳太郎 | 陸軍参謀本部陸地測量部 陸地測量官 | |
宇治 長次郎 | 和田村の案内人 | − | |
測量隊 測夫 | 木山 竹吉 | − | |
生田 信 | − | ||
測量隊 人夫 | 宮本 金作 | − | |
山口 久右衛門 | − | ||
岩木 鶴次郎 | − | ||
小島 烏水 | 日本山岳会 幹事 | − | |
登攀ルート | 和田村〜大日平(野営) 大日平〜大日岳〜奥大日岳〜室堂乗越〜番場島(野営) 番場島〜白ハゲ(大窓)〜番場島(野営) 番場島〜室堂(野営) | ||
室堂〜雄山〜室堂 室堂〜雄山〜立山温泉 | |||
立山温泉〜ザラ峠〜五色ケ原〜鳶山〜越中沢岳〜ザラ峠(野営) ザラ峠〜立山温泉 立山温泉〜和田村:一時休止 | |||
番場島〜白萩川〜キワラ谷〜気和平(野営) 気和平〜早月尾根〜東大谷乗越の鞍部〜(×)切戸・カニノハサミ(×)〜気和平(野営) 気和平〜劔沢(野営) 劔沢〜一服劔〜前劔への鞍部(野営) 前劔への鞍部〜前劔〜劔沢(野営) 劔沢〜一服劔〜前劔〜別山尾根(野営) 別山尾根〜(×)劔岳(×)〜別山尾根(野営) 別山尾根〜劔沢 → 立山温泉 | |||
立山温泉 → 室堂乗越〜劔沢〜大雪渓(※)〜大雪渓の熊石〜稜線の鞍部〜頂上下の岩壁〜劔岳山頂 | |||
大雪渓(※):後の長次郎谷 | − | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 高度 | − |
文学度(小説度) | 低度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
新田次郎の山岳ドキュメンタリー小説のなかでも超A級 初登頂までの緊迫感は絶品だが,その後のエピローグは淡白すぎて物足りない(殆ど無いほうが良い印象を受けた) |
刊行 | 昭和51年3月 | − | |
時代 | 大正2年8月26日 | − | |
キーワード | 修学旅行登山 | − | |
木曽駒ヶ岳 | − | ||
韋駄天低気圧(台風) | − | ||
遭難記念碑及び伊那市立西駒山荘 | − | ||
白樺派 理想主義教育 | − | ||
登場人物 | 赤羽 長重 | 中箕輪尋常高等小学校長 | 3回目の修学登山で遭難死 |
樋口 裕一 | 〃 教師 | 小作の娘 水野春子 と入水自殺 | |
有賀 喜一 | 〃 教師 | 事故後記念碑創りに奔走 ,後日病死 | |
征谷 隆得(そや たかえ) | 〃 教師 | 登山に同行 | |
清水 政治 | 〃 教師 | 登山に同行 | |
学童 唐島武男 古屋時松 有賀基広 など10名が遭難死 | − | ||
登攀ルート | 小学校 〜 内ノ萱(駒ヶ岳の登山基地) 〜 小黒川・胸突き八丁 〜 行者岩下のコル〜 将棊頭山(しょうぎかしら) 〜 濃ケ池 〜 駒飼ノ池 〜 賽の河原・伊那小屋(消失!)→ 下山 | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
山岳小説とは若干異なる | − | |
当時の長野県下の教育問題や官僚主義,地主と小作,本家と新家などのストーリーが交錯し,中学生の登山旅行での暴風遭遇と山小屋消失が起こした多数の遭難死が重なる複層の小説 |
刊行 | 昭和46年9月 | − | |
時代 | 明治35年1月20日 〜 1月29日 | − | |
キーワード | 雪中行軍隊 | − | |
第4旅団の歩兵第5連隊(青森)及び歩兵第31連隊(弘前) | − | ||
隊の指揮権 | − | ||
耐寒装備及び事前準備 | − | ||
現地の案内人 | − | ||
未曾有の大寒波 | − | ||
登場人物 | 徳島大尉 | 第31連隊の行軍隊隊長 | − |
さわ女 | 宇樽部〜犬吠峠〜羽井内への現地案内人 | ||
福沢鉄太郎 | 増沢〜田茂木野への7名の現地案内人の一人 | ||
神田大尉 | 第5連隊の行軍隊隊長 | − | |
山田少佐 | 第5連隊に随行の大隊本部の大隊長 | 出発後指揮権を奪う | |
倉田大尉 | 大隊本部の将校 | − | |
行軍ルート | 第31連隊 徳島小隊(37名+従軍記者) | 1月20日弘前の屯営出発 〜 大光寺村 〜 唐竹 〜 小国(泊) | |
1月21日小国 〜 切明部落(泊) | |||
1月22日切明部落 〜 白地山 〜 銀山(泊) | |||
1月23日銀山 〜 和井内 〜 宇樽部(泊) | |||
1月24日宇樽部 〜 犬吠峠〜羽井内 〜 戸来村中里(泊) | |||
1月25日中里 〜 三本木(泊) | |||
1月26日三本木 〜 増沢(泊) | |||
1月27日増沢 〜 田代平 〜 長吉岱 〜 無人小屋(泊) | |||
1月28日小屋 〜 鳴沢 長谷部善次郎の遺体と銃 馬立場 〜 按ノ木森 〜 賽の河原 〜 大滝平 第5連隊の踏み後 〜 大峠 〜 小峠 〜田茂木野村着1月29日AM2:00 | |||
第5連隊 行軍大隊(210名) | 1月23日青森の屯営出発 〜 幸畑 〜 田茂木野村 山田少佐,案内人を拒否 〜 小峠 〜 大峠 〜 大滝平 〜 賽の河原〜 按ノ木森 〜 馬立場 〜 鳴沢 橇14台を放棄 平沢森(第1露営) → 1月24日AM2:00帰営出発 発狂者が出る 〜 鳴沢 → 田代温泉へ行軍転換 凍死兵が出始める →再度馬立場へ転換 〜 鳴沢 凍死者が続出 (第2露営) 1月25日AM3:00出発(死者40名) 彷徨 長谷部善次郎凍死 〜 馬立場に到着 | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 高度 | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
本書は山岳小説の姿を借りた軍隊組織論 作者の大傑作の1編 | ||
多くの現地案内人や従軍の新聞記者などが物語りに幅を与えている |
刊行 | 昭和43年7月〜47年10月 | 山と渓谷 | − |
時代 | 戦前〜昭和39年 | ||
キーワード | 凍傷で右足は踵が二つ,左足は指が無い | ||
岩壁の初登攀 | |||
ザイルパートナーの遭難死 | |||
アイガー北壁とマッターホルン北壁 | |||
登場人物 | 竹井武彦(モデル=吉野満彦) | 主人公 | 国内の各地の岩壁の初登攀,マッターホルン北壁の日本人初登攀 |
河本峯吉 | 竹井と共に昭和23年年末,冬の八ヶ岳連峰縦走めざし遭難死 | ||
辰村昭平 | 竹井と共に昭和28年7月,前穂高岳北尾根第四峰正面壁を初登攀後,懸垂下降中に転落死 | ||
谷村弥市,津沼春雄 | 昭和29年8月前穂高北尾根の第3峰で津沼を助ける谷村が転落死 | ||
嶺風山岳会:松田,船山,大杉 | 竹井と共に昭和30年2月前穂高岳北尾根第四峰正面壁を冬季初登攀 | ||
奥田文雄,雨宮次郎,吉田広,板橋秀一 | 竹井と共に昭和32年1月北岳バットレス中央稜を冬季初登攀 | ||
稲沢鉄太郎 | フリッシュ社長 | 社員となった竹井を支援 | |
毛利恭子 | 水戸の毛利運動具店の女店主で,昭和37年に竹井と結婚 | ||
田浦雄三郎(モデル=三浦雄一郎) | プロスキーヤーをめざしフリッシュ主催の映画会に参加 | ||
吉田広,津沼春雄 | 昭和37年4月に谷川岳一の倉沢で雪崩に巻き込まれ,吉田と竹井は重症 | ||
片倉大五郎 | 昭和38年6〜8月竹井と共にアイガー北壁登攀に挑戦するも失敗 | ||
吉田広 | 昭和39年7〜8月竹井と共にマッターホルン北壁を日本人初の登攀 | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 高度 | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
実在のアルピニスト吉野満夫がモデルの壮絶な岩登り山岳小説 | ||
作者には珍しく俗人の悪玉”津沼春雄”を配したが,煮え湯を飲まされる繰り返しが多すぎて現実性は乏しい |
刊行 | 昭和49年9月〜50年8月 | 小説新潮 | − | |||||
時代 | 昭和年代 | − | ||||||
キーワード | 女性のロッククライマー | − | ||||||
ヨーロッパ三大北壁の女性初登攀 | マッターホルン,アイガー,グランドジョラス | |||||||
登場人物 | 駒井淑子(モデル=今井通子) | 主人公 | 日本を代表する女性登山家 | |||||
若林美佐子(モデル=若山美子) | 主人公と並ぶ世界的女性クライマー で鎌倉彫の彫刻家 |
淑子と共にマッターホルン北壁女性初登攀 | ||||||
佐久間博 | ジャグ山岳会の会長 | アイガー北壁直登隊の隊長 | ||||||
杉山文夫 | ジャグ山岳会 | アイガー北壁登攀 | 後に美佐子と結婚,ドリュウ西壁で美佐子と共に落雷死 | |||||
小橋大三郎 | ベアー山岳会の会長 | 後に敏子と結婚 | グランドジョラス北壁登攀隊 | |||||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 高度 | − | |||||
文学度(小説度) | 高度 | − | ||||||
読後感 by Yamazaki |
高名な女性アルピニストで医師の今井通子の半生をベースとした実録山岳小説 | |||||||
実在の女性アルピニストで鎌倉彫の故若林美子を配することで小説としての深みが増している | ||||||||
一般には,『孤高の人』・『栄光の岩壁』・『銀嶺の人』を以って新田次郎の山岳小説三部作と称されるらしい。 『孤高の人』が図抜けた作品のように思われた。 |
刊行 | 昭和49年5月 | − | |
時代 | 明治元年11月 宮城県石巻町で生まれる | − | |
明治20年 三菱汽船に入社 | − | ||
明治23年 米国沿岸警備船のキャビンボーイに | − | ||
190*年,ビーバー村を築き,ポイントバローのエスキモーを移住 | − | ||
1941年 フランクとジョージが強制収容所に連行 46年にフランクは帰村 | − | ||
1958年90歳で没す | − | ||
キーワード | エスキモー | ビーバー村 | − |
アラスカのゴールドラッシュ | シャンダラー鉱山 | − | |
エスキモーのモーゼ | − | ||
白人による鯨・海獣・カリブー・トナカイの大規模乱獲 | − | ||
白人の人種差別 | − | ||
登場人物 | フランク安田 | 日本名=安田恭輔 | 医師の祖父 安田友琳 医師の父 安田静娯の三男 |
エスキモーには ”日本のエスキモー”と言われる | |||
石原田 千代 | 祖父石原田鳴斎を祖父に,石原田鉄之助を父に持つ石原田家の一人娘 | ||
ラーレイ船長 | 沿岸警備船ベアー号の船長 | − | |
チャールス ブロワー | ポイントバロー町の交易所所長 | − | |
カビック | 現地のエスキモーの5人の親方の一人 | ||
アマオーカ | 鯨組の親方の一人 長男はタリック,長女はネビロ | ||
ネビロ | フランクと共にポイントバローを去り結婚,新天地を探す旅に出る | ||
長女『キョウコ』:後に麻疹で死亡 次女『サダ』:1910年病死 三女『バーニス』 四女『ハナ』 ハナは後に教師となる |
|||
トム・カーター | 鉱山師,フランクと共にアラスカ金鉱山を発見 | ||
ジョージ・大島 | 現地人に ”日本のインデイアン” と呼ばれる | ||
セニックとタカブック | ポイントバローのエスキモーの若者 金鉱探しに同行 | ||
ジェームス・ミナノ | エスキモー女性クナーナと結婚した日本人 一時カーターの金鉱探しに加わる | ||
アラシュック | アラスカインデイアンの大酋長 | ||
ビーバー村への探索ルート | ポイントバロー → フラックスマン島 → カニング河 → シャンダラー河 → ブルックス山脈北のアナクトブック → ワイズマン(金鉱の基地の町) → シャンダラー湖 → 後にシャンダラー鉱山となった丸い山 → ユーコン河畔のビーバー村 | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 山岳小説ではない | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
新田次郎,後期の長編小説 | ||
新田次郎の多くの作品と同様に,いわゆる小説とはジャンルが異なるドキュメンタリータッチの小説 |
刊行 | 昭和44年1月 | − | |
時代 | 明治40年頃〜昭和26年:鉱山の煙害との戦い | − | |
明治38年日露戦争 | − | ||
大正3年7月:第一次世界大戦 | − | ||
キーワード | 煙害 | 明治40年,入四間村に初めての煙害 | |
勇気と忍耐 | Couradge and Patience | オールセンの言葉 | |
本山精錬所と大雄院精錬所 | − | ||
戦時体制と銅の増産 | − | ||
季節風,逆転層 | − | ||
神峰山中央観測所ほか8箇所の社有の気象観測所 | − | ||
百足煙道と阿呆煙突 | − | ||
大煙突 | 156m,当時世界一の大煙突,日本人技術者の力で建設(大正3年)完成 | ||
大正4年3月1日に始動 総費用15.2万円,総人力3.7万人 | |||
登場人物 | 関根三郎(関右馬充) | 入四間村の関根家の当主兵馬の一人孫娘”みよ”の許婚 | |
村の煙害対策を進める入四間村煙害対策委員会の会長として木原鉱業と交渉 | |||
実在のモデルは入四間村の”関右馬充 セキウマノジョウ”氏 | |||
〃 いね | 兵馬の妻 | − | |
関根恒吉 | 関根家の分家の跡取りで,三郎の補佐役 | ||
チャールス・オールセン | 赤沢銅山の鉱山技師,スウエーデン人 | ||
加屋淳平 | 赤沢鉱山の地所係で三郎の相談相手 | ||
〃 千穂 | 淳平の妹,後に結核で若い死を迎える | ||
木原吉之助(久原房之助) | 木原鉱業所の創立者,煙害対策に真正面から対応して後に大煙突を建設 | ||
藤岡 | 中央気象台の技師,日立村で上層気流観測を初めて実施 | ||
”弦月” | 三郎の愛馬 | − | |
分類 by Yamazaki |
山岳度 | 山岳小説ではない | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
新田次郎の多くの作品と同様に,いわゆる小説とはジャンルが異なるドキュメンタリータッチの小説 | ||
郷土の歴史,公害問題の歴史として日立市近隣に住んでいる人たちや日本鉱業・日立鉱山,日立製作所の関連の企業に勤めている(勤めていた)人たちは一度読むことを勧める |
刊行 | 昭和43年 | 文藝春秋社 | |
時代 | 文化十年(1813年)十月 〜 天保十一年(1840年)十月 | ||
キーワード | 富山一揆(打ち毀し) 文化十年十月 | 飢饉 | − |
おはま | 岩松(後の播隆上人)の妻 | − | |
念仏行者 | 寺を持たない念仏修行の僧 | − | |
浄土宗 阿弥陀経 阿弥陀如来の来迎(ブロッケン現象) | − | ||
登場人物 | 岩松(後に出家して播隆上人) | 越中八尾の米問屋”玉生屋”の手代 | 一揆の際,誤って妻おはまを槍で殺す |
徳助(播隆に従い出家して徳念) | 高木村の徳市郎の子供 | 最後に柏巌尼と共に去り還俗 | |
弥三郎 | 玉生屋の手代で根っからの商人 | 後に更田屋(ふけたや)主人 | |
椿宗(ちんじゅ)和尚 | 飛騨高原本郷村『本覚寺』の住職 | 岩松に見仏上人を紹介する 仏業(事業)に才覚あり |
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海音和尚 | 美濃太田『裕泉寺』の住職 | ||
見仏上人 | 摂津天王寺浄土宗『宝泉寺』の住職 | 日課念仏や一日一食 | |
戒名(解脱名)岩松 → 岩仏 | 見仏上人から授かる | ||
徳助 → 徳念 | 見仏上人から授かる | ||
蝎誉和尚 | 伏見下鳥羽『一念寺』の住職 | − | |
新しい戒名 岩仏 → 播隆 | 蝎誉和尚から授かる | ||
立禅(りゅうぜん)和尚 | 松本『玄向寺』の住職 | − | |
岩井戸村の名主 大宅善右衛門 | 杓子窟に播隆の籠堂を建立 | − | |
笹島村の名主 今見右衛門 | 笠ケ岳の案内役 | − | |
おさと 弥三郎の妻てるの双子の妹,寡婦の身を出家 弥勒寺で播隆により得度 戒名『柏巌尼』を授かる | |||
笠ケ岳再興 | 円空上人:元禄初年に開山 | 南裔上人:天明二年に再興 | − |
文政五年夏 郡代大井帯刀が笠ケ岳再興の道作りの命令 | − | ||
文政六年8月5日 笠ケ岳再興の登山開始 初之助・与吉・五郎四郎らと共に播隆登頂 如来の来迎を見る | |||
弥三郎が弥陀仏像を寄進して,播隆らは翌文政七年7月山頂の祠に安置 | − | ||
槍ヶ岳開山 | 文政九年8月5日 飛騨新道へ入る | 中田又重郎,穂苅嘉平,作次郎同行 | − |
松本→冷沢→鍋冠山→大岳(大滝山)→蝶ケ岳→山葵沢→杣小屋→一之股→二之股→槍沢川→雪渓→上の岩小屋(今の坊主小屋)→槍の肩:引き返す | |||
文政十一年6月 丹野辺市左衛門の四男四郎左衛門及び犬山近江屋吾助の三男吾兵衛を弟子に | |||
文政十一年7月23日 再び槍ヶ岳へ | 徳念と隆志・隆旺も同行して7名 | 弥三郎の作った阿弥陀仏像も | |
7月28日 又重郎と共に登頂,阿弥陀仏を安置 | − | ||
岡田伊勢守善功の家老『芝山長兵衛』 城台山に浄土宗阿弥陀寺を建立して播隆にあずける | |||
犬山城主成瀬正寿が槍の穂に掛ける550貫目の鉄鎖を寄贈する | |||
天保五年8月1日 槍の穂に善の綱を掛け,信者と共に”槍ヶ岳開山式”を行う | |||
天保十一年8月13日 槍の穂に善の鉄鎖を設置して完全開山が成る | |||
天保十一年10月21日 美濃太田の中仙道脇本陣の林伊左衛門宅で入寂 | |||
分類 by Yamazak |
山岳度(ドキュメンタリー度) | いわゆる山岳小説とは別の範疇:信仰にもとずく開山歴史小説 | |
文学度(小説度) | 中度 | ||
読後感 by Yamazak |
新田次郎の多くの作品と同様に,史実をもとにした歴史小説 当時の仏教信仰に元ずく高山の開山の実態が理解できる点が興味深い |
刊行 | 平成21年11月 | 文芸春秋 | ||
時代 | 現代 | |||
キーワード | 人生の再出発 | |||
カンティ・ヒマール山域 | ||||
未踏峰『ビンティ・チュリ 6,720m』 | ビンティ=祈り チュリ=鋭い高峰 | |||
登場人物 | パウロさんこと『蒔本康平』 | 北八ヶ岳の雨池の畔の山小屋『ビンティ・ヒュッテ』のあるじ | ダウラギリT峰の無酸素登攀で秘密を負いクライマー引退。 登山用具店運営後北八ヶ岳の山小屋のオーナーとなり,三人をアルバイトとして雇い数年後にヒマラヤの未踏峰の挑戦で人生の再出発計画するるが山小屋の火事で焼死。 | |
裕也こと『橘裕也』 | SEあがりの派遣社員で後に三人のリーダー格 | ワーキングプア―の派遣業に追い込まれ,偶然目にした山小屋のアルバイト募集で加わり蒔本の死後は残された三人のリーダー格て未踏峰への挑戦を行う | ||
サヤカこと『戸村サヤカ』 | アスペルガー症候群の患者で料理には天才的な腕を発揮 | 病気で社会との接点を失うが山小屋でのシェフに生きがい得て,未踏峰挑戦にも加わる | ||
慎二こと『勝田慎二』 | 知的障害の若者で体力と絵が自慢 | 知的障害で引きこもり状態であったが,山小屋で力仕事の傍ら絵を書いている | ||
ビンティ・チュリの登攀 | (1)パウロさんの計画をもとにサヤカが詳細なビンティ・チュリ遠征計画を作成 | |||
(2)北西ネパールの玄関口ジュラム→キャラバン開始地点グムガディ→6日目にベースキャンプ4,600m | ||||
(3)南壁初登攀を狙う米加の二人クライマーと遭遇:米人デュバルは以前ヨセミテで薪本に命を助けてもらった | ||||
(4)午後11時BCスタート 5,000mコル直下のクーロワールから更に登り午前11時に5,500mに前進キャンプを設営 | ||||
(5)午前3時前進Cスタート 午前7時5,900m地点 午後3時6,400m地点でビバーク デュバルらは側稜を登り切り午後8時に岩場のテラスでビバーク |
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(6)午前4時ビバークテントを撤収して登攀スタート 午前11時頂上直下の岩場 →三人で山頂に立つ 直後にデュバル達も山頂に到達 |
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(7)帰国後のビンティ・ヒュッテ再建を三人で誓い合う | ||||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 山に舞台を借りた青春物語 山岳度は中程度 | ||
文学度(小説度) | 中度 | |||
読後感 by Yamazaki |
山に人生の再出発を託した青年たちの未踏峰挑戦物語はなかなか面白い読み物である。 良く構成されているが,これほどのことを成功させるストーリーには弱さがあると言わざるを得ない。 |
刊行 | 平成20年6月 | 文芸春秋 |
時代 | 現代 | |
キーワード | 人生の再出発 | |
カラコルム山域 K2 | ||
ザイル切断と不良アッセンダー(登高器) | ||
チャイナウィンドウ:カラコルムに好天をもたらす北東の季節風 | ||
登場人物 | 矢代 翔平 | K2東壁挑戦でパートナー聖美を失う。その後引きこもり状態であったが4年後亮太からブロードピークツアーへの参画とK2東壁再挑戦を提案され再稼働する。 |
栗本 聖美 | 翔平のザイルパートナーで伴侶,K2東壁で自らザイルを切り墜落死して翔平を救った。 | |
竹原 充明 | 学生時代にK2登攀で雪崩にパーティー4名を失い山から離れ,日本エレクロトニクスに勤務。神津から秘書(神津の山歩きの指導専任)を命ぜられる。父はマナスル登頂後遭難死。 | |
神津 邦正 | 日本エレクトロニクス創業社長で還暦を過ぎヒマラヤの高峰に人生最後の価値を見出す | |
板倉 亮太 | アルパインスタイルで翔平とパーティーを組む。後に公募登山ツアー会社コンコルディアツアーズを創設して,神津・翔平らがブロードピークツアーに加わる | |
矢代 道輝 | 翔平の父でカスタム半導体設計会社ミネルバの創業社長。神津の会社の心臓ペースメーカー用半導体を提供 | |
キース・レイノルズ | ニュージーランドの公募登山隊アグレッシブ2007の社長でブロードピークツアー隊の隊長 | |
イクバル | 14歳の時,翔平らのK2登山にポーターとして加わり破傷風で死に直面したが聖美に助けてもらい,コンコルディア社のブロードピープツアーに参加 | |
ブロードピーク登山 | (1)5月6日翔平は先遣としてパキスタンのイスラマバードに到着,陸路スカルドに向かう。 ここで高所ポーターのイクバルと再会,ツアー隊に加わる。更にキャラバン出発予定のアスコーレに向かう |
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(2)キャラバン8日後にK2のBCに到着。K2東壁を目視調査,BC入りの一週間後にニージーランド隊が到着,固定ロープの共用で合意。アルゼンチンからの三人パーティーの割り込みを心配する。 | ||
(3)翔平とイクバルは7,000m地点までの試登を実施,ノーマルルートの懸垂氷河の右トラバースは避けて,コル直下のセラック(氷柱)帯までの直登ルートを選択して6,700m地点まで試登。 | ||
(4)6月中旬に本隊がイスラマバードに入る。一方キース隊は西陵最上部からセラック帯へのルートの2/3まで固定ロープを設置。7月2日に亮太本隊がBC到着。標高6,000mのC1との間で高度順化を開始。翔平はキース隊のC3(7,100m)まで登る。C3はC2(6,700m)と上部セラック帯のほぼ中間点。C4は更に400m上の7,500m。 | ||
(5)7月25日亮太隊はABCに集結。翔平はイクバル・神津・竹原と共に先発隊,亮太は第3グループで前進。キース隊はC3に到達。翔平Gは10:00にC1からC2に到達。アルゼンチンの3人も割り込んで固定ロープを無断使用して登攀開始。 | ||
(6)C2を出発して,C1 の下で固定ロープの切断との情報を聞く。午前10時にC3に着いた時は激しいブリザード,キース隊はC4上の7,850mのコルの先でブリーザードで動けない状態。翔平はC3で停滞。翔平は神津と共に酸素とお茶を持ちキース隊救助のため16:00にC4に向かう | ||
(7)19:00C4に着くがキース隊のテントは壊滅状態。竹原らがテント設営にC4に向かい,翔平と神津はキース隊救出のため更に前進する19:30。コルに着いてもキース隊はいないので二人は更に前進する。前衛峰でキース隊のポーターを発見。C3の下で再び固定ロープ切断の情報。 | ||
(8)翌2:00前衛峰に到着,その先にキース隊を発見。16名に死者はいない。少量の酸素とお茶を与え,登ってきたイクバルたちが持ってきた酸素とお茶により元気を取り戻し7:00骨折したキースを含め全員でC4への下山を始める。 | ||
(9)コルの手前で中ずり状態のアルゼンチン3人を救助して,彼らが不良アッセンダーで傷つけたコルからの垂直下降用のロープのかわりにその上の固定ロープを翔平とサポートスタッフが回収に登る。 | ||
(10)極寒の嵐の中全員のC4への下降に成功,結局3名の死者となったが残りは救出。 | ||
(11)亮太隊はその後全員ブロードバンド登攀成功,翔平・亮太達はK2東壁からK2 頂上に立った。 聖美の落下は聖美が使用した不良アッセンダーによるものを確信して翔平は再出発する。 |
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分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 山岳度は『未踏峰』よりかなり高い |
文学度(小説度) | 中度 | |
読後感 by Yamazaki |
山に目覚める創業会社の会長など面白い構成の読み物である。 還暦過ぎた神津が8,000mの無酸素の高峰で人生を語ったり,翔平の活躍で絶望的な状況で奇跡的にほとんどの人が助かるのは,かなり無理があるが読み物としては飽きない。 |
刊行 | 平成26年10月 | 祥伝社 | ||
時代 | 現代 | |||
キーワード | エゾオオカミ | 1896年に絶滅と言われている | ||
山岳写真家 | ||||
東大雪 ニベソツ山2,013m 石狩岳1,967m | ||||
登場人物 | 風間健介35歳 | スタジオ写真家から亡父恭造と同じ山岳写真家を目指す | 偶然山中で田沢と会い彼の無罪を確認し,エゾオオカミ生存も信じるようになる | |
田沢保 | 三上隆信の冤罪殺人で刑期を終えひたすらエゾオオカミを探す | 父恭造とは山中で知り合い互いに心を通わす 俗世界には全く未練を持たない |
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仲上修司 | ニベソツ山麓でペンションを営み,父恭造の山仲間 健介をサポートする | |||
三山隆信・義昌親子 | 東大雪エリアの観光開発を目論む | 実は義昌が・・・・・・・・。 | ||
平川富夫 | 帯広警察署刑事課 | 以前から隆信殺人の真犯人を探している | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 山岳小説ではない | ||
文学度(小説度) | 中度 | |||
読後感 by Yamazaki |
絶滅したと言われるエゾオオカミが東大雪エリアに生存していたというストーリーに地域開発業者の殺人を絡めたシンプルな物語 複数の殺人や地域警察・裁判所の密着にはチョット無理がある |
刊行 | 平成24年1月 | 文芸春秋 | ||
時代 | 現代 | |||
キーワード | マッキンリー(デナリ) | |||
カシンリッジの冬期単独登攀 | ハイキャンプ・メデイカルキャンプ・ベースキャンプ | |||
アラスカ・先住民 | タルキートナ | |||
登場人物 | 吉沢國人 | 悟の山岳部同期で,山行のパートナー 悟の救助に参加する | ||
津田悟 | 天才的クライマーだが一匹狼で国内で受け入れられずアラスカ・マッキンリーに本当の居場所を見つける。 最後の覚悟でカシンリッジの冬期単独登攀を試みる | |||
小林祥子 | 悟の妻 アラスカ先住民の文化を研究 | |||
高井敏樹 | 城北大山岳部OB 旅行会社GIG社北米担当 で悟の救助に向かう | |||
ワイズマン | アラスカ先住民の長老で悟と心を通じ合う | |||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | デナリでの遭難と救助だが,いわゆる山岳小説とは一味異なる | ||
文学度(小説度) | 中〜高度 | |||
読後感 by Yamazaki |
クライミングは意外なほど少なく,ほとんどは会話や心理・心象表現が占めている。 そういう物語と思って読まないと肩透かしを食う。 |
刊行 | 『黒い画集』 より | 週間朝日 昭和33年10〜12月 | |
時代 | REAL TIME | − | |
キーワード | 鹿島槍ヶ岳 〜 五竜岳 | − | |
布引岳と牛首山の誤認(故意の) | − | ||
三等寝台車 | − | ||
江田の妻と岩瀬の不倫 | − | ||
夜行列車車中で不倫を本人(岩瀬)に匂わすことで心理的圧力 | − | ||
雪に隠れたクレバス | − | ||
登場人物 | 江田 昌利 | 32歳,A銀行丸の内支店の支店長代理 | 山のベテラン |
岩瀬 秀雄 | 28歳,同銀行勤務 | 山は中級 | |
浦野 吾一 | 25歳, 〃 | 山は初心者 | |
岩瀬 真佐子 | 岩瀬秀雄の姉 | − | |
槇田 二郎 | 東北の電力会社勤務,岩瀬の従兄弟で松本高校山岳部OB 岩瀬秀雄の遭難死に疑問 |
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登山ルート | 大谷原〜冷池(ツベイケ)〜爺岳〜冷小屋(ツベタコヤ)泊 | ||
冷小屋〜布引岳〜鹿島槍ヶ岳南槍〜北槍(ガス濃くなる)〜キレット小屋手前で引き返す | |||
〜鹿島槍ヶ岳 → 牛首山へミスルート → 黒部渓谷手前で岩瀬が歩行不能に | |||
→ 江田一人で冷小屋に戻り救助要請 → 翌朝 浦野を救助,岩瀬の凍死体を発見 | |||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
松本清張の短編集『黒い画集』に収録の名短編 | ||
登山経験のなかった筆者本人が,事前に鹿島槍に登って書き上げたと言われる | |||
さすがに戦後昭和を代表する小説家の一人である |
刊行 | 『黒い画集 U 』 より | サンデー毎日特別号昭和34年11月 | |
時代 | 事件 大正15年6月 | − | |
田島 老人 (元警部)の訪問 三十数年後 | − | ||
キーワード | 山葵沢 〜 天城トンネル | − | |
一円 | − | ||
白橋の氷倉 | − | ||
九文半の足跡 | − | ||
登場人物 | 私 | 下田の鍛冶屋の三男 事件当時16歳 今は印刷業 | |
事件当日は家出をして修善寺から静岡めざし歩いていた | |||
大塚 ハナ | 事件当時二十四,五歳の酌婦 修善寺方面から足抜き逃走中に修善寺の手前で私と遭遇 | ||
土工風の男 | 天城トンネルを過ぎて私とすれ違い | ||
田島老人 | 当時事件を担当した刑事 『刑事捜査参考資料』の印刷を私に依頼 | ||
登山ルート | 登山は無い | − | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 山岳小説ではない | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
短編集『黒い画集』に収録の秀作 | ||
少年の性の目覚めと明確な殺意 |
刊行 | 昭和32年10月 | − | |
時代 | 昭和30年〜31年 | − | |
キーワード | ナイロンザイル | − | |
登場人物 | 魚津 恭太 | 32歳,ロッククライマー | − |
小坂 乙彦 | 魚津のザイル仲間 | − | |
小坂 かおる | 小坂の妹 | − | |
八代 美那子 | 八代の妻 | − | |
八代 教之助 | 東邦化工の専務 | − | |
常盤 大作 | 新東亜商事の東京支店長 | 魚津の上司 | |
登攀ルート | 徳沢〜新村橋〜奥又白〜前穂高岳北壁〜東壁 Aフェース※ | ※小坂転落死 | |
新穂高温泉〜滝谷出合〜雄滝〜D沢※〜涸沢岳〜穂高小屋 | ※魚津落石直撃死 | ||
徳沢小屋 | 前穂東壁登攀のベース小屋 | − | |
魚津の登攀ノート | 『・・・・・・・・・・・・ ガス全クナク,月光コウコウ。 二時十五分ナリ。 苦痛全クナク,寒気ヲ感ゼズ。 静カナリ。 限リナク静カナリ。』 | ||
魚津から小坂への言葉 | 『生まれた。 登った。 死んだ。 』 | − | |
分類 bu Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
さすがに井上靖 山岳の場を使った第一級の小説 小説中で魚津の書いた見事な短文は,当時山男の間で頻繁に真似られた |
刊行 | 平成9年8月 | 第11回 柴田錬三郎賞の受賞作品 | |
時代 | 現在 | − | |
キーワード | 単独行 | − | |
前人未到 | − | ||
コダック社製の 『ベストポケット・オートグラフィック・コダック・スペシャル写真機』 | |||
登場人物 | 深町 誠 | 登山家で山岳写真家 羽生のエベレストアタックに後方から写真撮影支援,頂上直下の羽生の姿を撮影 | |
翌年,通常ルートでエベレスト登攀後,下山中(中国側)に羽生とマロリーの遺体を発見 | |||
羽生 丈二 | 先鋭的クライマー 東京山岳協会のエベレスト遠征に参加,冬季南西壁の第一次アタック隊の人選に漏れ,一人で勝手に下山 | ||
ネパールに不法滞在して,エベレスト南西壁の冬季・無酸素・単独登攀アタック中に不明となる | |||
長谷 常雄 | 世界的な先鋭クライマー K2の無酸素・単独アタック中に雪崩で遭難死 | ||
岸 文太郎 | 新鋭クライマー 北アルプス穂高の屏風岩に羽生とアタック中に転落死 | ||
岸 涼子 | 文太郎の妹 後に羽生の恋人,最後には深町の恋人に | ||
アン・ツエリン | ネパールの高名なシェルパ 羽生のアタックを支援,翌年深町のアタックも支援 | ||
G.マロリー | イギリスの第二次エベレスト遠征隊(1922年) 頂上アタックで行方不明に | ||
マロリーの有名なセリフ 『それ(エベレスト山)がそこにあるからさ』 | |||
羽生の登攀 ルート |
BC〜アイスフォール〜ウエスタンクーム(夜)6,500m〜ベルグシュルント〜軍艦岩〜灰色のツルム7,600m | ||
〜左クーロワール(岩溝)〜大中央ガリー〜25m垂壁でロックバンド上部8,350m〜南峰ルンゼ〜南峰コル8,760m〜頂上8,848m | |||
当初はこの間は通常ルートを利用 | |||
深町は下山へ ウエスタンクーム〜南稜 羽生を確認 頂上直登へ | − | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
第一級の読み物,かなりうまく出来たストーリー構成 |
刊行 | 昭和41年11月 | − | |
時代 | 昭和40年 | − | |
キーワード | カラコルム山群の処女峰デイラン峰(7,273m) | − | |
英国隊,ドイツ隊,オーストリア隊が登攀失敗 | − | ||
ロジェ・デユプラの詩 | 『いつか或る日 山で死んだら ・・・・・・・・・・・・』 | ||
”アチャ” | = グッド | − | |
”アチャ・ナヒン” | = ノーグッド | − | |
登場人物 | 八滝 | 遠征隊長 ケルン山岳会顧問 | 松本高校〜東大 八滝印刷社長 |
久能 | 副隊長 | ||
柴崎 | ドクター・サーブ | 主人公の医師 | |
増田 | モタ・サーブ(太った旦那) 34歳 | 第二次アタック隊 | |
曽我 | チョータ・サーブ(小さな旦那) 28歳 | − | |
羽瀬 | 29歳 第一次アタック隊 | − | |
瀬谷 | 31歳 第一次アタック隊 | − | |
竹屋 | − | − | |
田代 | 京都出身 第二次アタック隊 | − | |
小倉 | 遠征隊マネージャー | − | |
メルバーン | コック 若い頃はハイ・ポーター | − | |
レイサーン | ハイ・ポーター | − | |
サファラーズ | 連絡将校(リエゾン・オフィサー) | パキスタン軍の大尉 | |
遠征ルート | ギルギット〜ジープ〜ミナピン村〜キャラバン〜タカファリ(B.C.) | − | |
B.C. 〜 C1 〜 F1 〜 C2 〜 C3 〜 C4 〜 A.C. 〜 デイラン山頂 | |||
← ミナピン氷河 → コル | − | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
カラコルムの処女峰を目指すストーリーであり,山岳小説というよりは第一級の文学作品 ドクター・サーブは筆者自身か? |
刊行 | 平成5年3月 | − | |
時代 | リアルタイム | − | |
キーワード | 南アルプス 北岳 池山吊尾根登山道 | − | |
蛍雪山岳会 | − | ||
N大学 法学部及び経済学部 | − | ||
警視庁 捜査一課 強行犯捜査班 | 七係 都立大裏事件捜査本部 | ||
十係 王子事件捜査本部 | |||
登場人物 | 合田 雄一郎 | 警視庁 都立大裏事件捜査本部 | 警部補 |
吾妻 哲郎 | 警部補 | ||
松井 浩司 M | 蛍雪山岳会 N大学 法学部卒 | 法務省・刑事局次長 | |
浅野 剛 A | 蛍雪山岳会 N大学 医学部卒 | 浅野病院・病院長 | |
林原 雄三 R | 蛍雪山岳会 N大学 法学部卒 | 弁護士・蛍雪山岳会会長 | |
木原 郁夫 K | 蛍雪山岳会 N大学 法学部卒 | N大学理事長 | |
佐伯 正一 S | 蛍雪山岳会 N大学 経済学部卒 | 佐伯建設・副社長 | |
水沢 裕之 | 夜叉神峠での一家心中の生き残り 多重人格症 | ||
高木 真知子 | 看護婦 水沢の理解者/恋人 | ||
加納 祐介 | 検察庁 地検特捜部 検事 | 合田の義理兄 | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 高度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
プロローグとエピローグは南アルプス北岳だが,本書は山岳小説ではなく,第一級の警察小説 |
刊行 | 昭和47年 | − | |
時代 | 昭和**年 | − | |
キーワード | ザイルパートナー | − | |
ヘルメット | − | ||
八ヶ岳 真教寺尾根 | − | ||
後立山連峰 K岳北峰北壁(鹿島槍ヶ岳) | − | ||
K2東北稜 | − | ||
光の点滅信号 | − | ||
登場人物 | 影山 隼人 | 東京雪線クラブのメンバー,真柄のザイル仲間 後に貴久子と婚約するもK岳で死亡 |
|
真柄 慎二 | 影山のザイル仲間であるが山では脇役の役回り 貴久子を強く慕う |
||
湯浅 貴久子 | 八ヶ岳真教寺尾根で半死状態で二人に救出 | 菱井物産の社員 | |
熊耳 敬助 | 大町署の警部補で遭難救助隊 | ||
中井 敏郎 | 菱井物産で貴久子の職場の先輩 | 湯浅を捨てて上田専務の娘と結婚 | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 山の場を借りた推理小説 | − | |
読後感 by Yamazaki |
推理小説としてはストーリーが良く構成されている | ||
殺意と実際の犯行の間の必ず存在するはずの激しい心の葛藤が全く感じられないので,小説としての深みに難点を感じる | |||
光の点滅信号のトリックは最初から分かってしまう |
刊行 | 昭和44年 | − | |
時代 | 昭和38年1月〜昭和43年6月 | − | |
キーワード | ベトナム特需の特殊兵器 | − | |
被爆と白血病 | − | ||
会社への忠誠心と出世欲 | − | ||
八ヶ岳 | − | ||
恋愛観,結婚観 | − | ||
登場人物 | 秋田 修平 | 大西のザイルパートナー,西穂高〜奥穂高へのナイフエッジで滑落した大西を決死の救助 日本労災防止協会中央診療所の医師,実は広島の被爆者で最後に白血病で倒れる |
|
大西 安雄 | 秋田のザイルパートナー,八ヶ岳の赤岳頂上小屋で倒れた秋田を決死の救助 | ||
日本化成の研究者:高性能ナパーム弾や新型ガス兵器用Nガスを八ヶ岳の秘密研究所で開発 | |||
旗野 祥子 | 日本化成の秘書課勤務 | 秋田を慕うが後に大西と結婚 | |
竹本 香織 | 銀座フロイラインのナンバーワン 八ヶ岳麦草峠で半死状態を秋田に救われる,後に秋田と結婚 |
||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 一部で山の場を借りた社会推理小説 | − | |
読後感 by Yamazaki |
いくら推理小説と言っても,これだけ偶然性が重なりすぎるのはイケマセン。 | ||
ベトナム戦争や被爆問題,サラリーマンの会社忠誠など”社会推理”を意識して色々盛り込みすぎたため,薄っぺらな印象だけが残り小説としての深みに欠ける。 |
刊行 | 平成14年10月 | − | |
時代 | 昭和11年 | − | |
キーワード | 立教大学山岳部 | − | |
英領インドのガルワール・ヒマラヤ 『ナンダ・コート山(6,867m)』 | 未踏峰 | ||
日本初のヒマラヤ遠征・未踏峰の初登頂 | − | ||
登場人物 | 浜野 正男 | 立教大学山岳部 3年生 | − |
堀田 弥一 | 遠征隊隊長 | 立教大学山岳部OB | |
山縣 一雄 | 立教大学大学院生(就職浪人) | − | |
湯浅 巌 | 立教大学山岳部 4年生 | − | |
竹節 作太 | 大阪毎日新聞社の記者 | 遠征隊に記者,隊員として同行 | |
アン・ツエリン | 現地の山岳ガイド | − | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 | − |
文学度(小説度) | 中度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
ドキュメンタリーとしても小説としてもB級 |
刊行 | 平成2年8月 | − | |
時代 | リアルタイム | − | |
キーワード | 中国・ネパール・インドの国境紛争 | − | |
ゲリラ テムジン部隊 | − | ||
登場人物 | 滝沢 育夫 | 破滅型の登山家 | − |
ニマ・ノルブ | ネパールの山岳ガイド 実は日本を捨てたテムジン派のゲリラ | 実は摩耶の父親 | |
加山 君子 | 滝沢の恋人 | − | |
川原 摩耶 | インド,ネパール文化に興味を持つ大学生 | ||
アン・ツエリン | 現地の山岳ガイド | − | |
林 | 滝沢のマナスル遠征のスポンサー | 実は中国軍の士官で工作員 | |
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 | − |
文学度(小説度) | 低度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
ドキュメンタリーとしても小説としてもC級 支離滅裂で読むに耐えない! | ||
第一,本の題目が本の内容と全く異なる |
刊行 | 平成8年10月 | − | |
時代 | リアルタイム | − | |
キーワード | 中国・チベット間のチベット独立紛争 | − | |
ゲリラ テムジン部隊 | − | ||
登場人物 | 滝沢 育夫 | 破滅型の登山家 → 活劇家らしい | − |
蔵間 隆利 | アイガー北壁で滝沢のザイルパートナー 登攀中に疲労死 | ||
ニマ・ノルブ | 実は旧日本軍人で日本を捨てたテムジン派のゲリラ | 実は摩耶の父親 | |
川原 摩耶 | ニマの娘 父を追いチベット独立に入り込む | ||
チュデン・リンポチェ | チベットの活仏 独立運動の精神的指導者 | ||
ジグメ | 中国軍人,リンポチェを追い最後にエベレスト越えで摩耶に撃たれる | ||
ノルブ | 日中ネパ三国合同エベレスト登山隊員,滝沢と合流する | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 極低度 | − |
文学度(小説度) | 極低度 | − | |
読後感 by Yamazaki |
前作の5年後に書かれた続編とのこと。 山岳小説ではなく,前作同様に冒険活劇読み物である。 | ||
このような状況でエベレスト越えが出来るわけは絶対にない。 読み物としても,やはりC級である |
刊行 | 1994年5月(宝島社) | − | |||
時代 | 1987年1月 | − | |||
キーワード | のらくろ岳友会 | 常念一の沢への下山 | − | ||
登場人物 | 遭難したのらくろ岳友会のパーテイー | 三枝悦男 | 宮崎聡司 | 橋本正法 | |
のらくろ岳友会の捜索班 | 宮下真史 | 杉本茂 | 泉康子 その他 | ||
日産栃木山岳会 | 大阪市役所山岳部 | 大村労山 | その他 | ||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 本作品は山岳遭難捜索ドキュメントとされている | |||
文学度(小説度) | 小説ではない | ||||
読後感 by Yamazaki |
筆者自身は遭難捜査報告書と言っているが,多分に新田次郎の山岳小説が意識されており小説的な色合いも強い。前半の同時期に入山した多くのパーテイーの証言類はかなり交錯しており冗長,一番肝心の『なぜ冬山で沢に下ったか?』については充分言及されていない。報告書味のフィクションの方が良かった印象。 |
刊行 | 1994年3月(自由国民社) | − | |||
時代 | 1977年9月〜78年3月 | − | |||
キーワード | ドロミテ結び | 三角関係 | − | ||
登場人物 | 弁護士 学生時代には山岳部 | 入江卓夫 | 入江を主人公とした連作の一つ | ||
大洋海産社の部長 大学では山岳部 | 八田茂夫 | 三人行の穂高を提案,沼田への殺意あり | |||
茂夫の妻で学生時代は山岳部 | 八田恭子 | 穂高同行,夫への嫌悪を強めている 後に夫を殺し自殺する | |||
八田の大学後輩で山岳部,恭子に好意を持つ | 沼田市郎 | 三人行の穂高でトップ,八田の殺害を計画したが八田により転落させられる | |||
沼田市郎の妹で兄の転落死に疑問を持つ | 沼田洋子 | − | |||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 殺人とロッククライミングを組合わせた | |||
文学度(小説度) | 単純な推理小説 | ||||
読後感 by Yamazaki |
登山家で弁護士の筆者が書いた単発テレビドラマ風の推理小説。 ドロミテ(伊)のプロガイドが自分が転落したときに自分のザイルが簡単に解けることにより客の道連れ転落を守るという結び方を利用した点だけが面白い。 登場人物の人間関係や犯行にいたる経過は陳腐で三級小説。 |
刊行 | 1991年(立風書房) | − | |||
時代 | リアルタイム | − | |||
キーワード | デポ | 過労死 | − | ||
登場人物 | 桂裕二郎:私立病院の総務課長 | 静岡の高校の同級生,44歳の山仲間 | 岳沢ヒュッテ近くにデポした食料中の青酸で死亡 | ||
出島昇司:墨田区で工作機械の設計業 | 雄山東面尾根でアンザイレンの水森頼子と転落死 | ||||
佐貫泰明:警視庁永田署の警備係長 | 剱岳伝蔵小屋の先のテントを奪われ,長男の圭介が凍死 | ||||
塚口寛:横浜で学習塾を経営 | 長男の智久が道原を訪ねる | ||||
道原伝吉 | 豊科署刑事 | 二人のコンビで事件を解決 | |||
伏見 | |||||
有沢達夫 | 日本急便バイト | 永田署で佐貫の部下だった父有沢清隆を過労死で失う | |||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 殺人の現場に山が使われているが山岳小説の要素は薄い | |||
文学度(小説度) | 単純な復讐劇のTVサスペンスドラマ風の殺人読み物 | ||||
読後感 by Yamazaki |
登山をよくする筆者の山岳推理小説連作の一つ。 食料・燃料のデポ(デポジット)が第一の事件のポイントになっている点だけが珍しい。毒殺や突き落としやテント破壊などあまりにも山の現実から乖離している。犯行にいたる経過は陳腐で,犯人がそれほど山の経験を踏んでいるとは思えないだけに違和感は非常に大きい。 |
刊行 | 2001年2月(光文社) | − | |||
時代 | リアルタイム | − | |||
キーワード | 不倫 | − | |||
登場人物 | 宮島高明 | 父が築いた宮島恒産の二代目社長 | 穂波の依頼の八ヶ岳で筒石殺害に失敗 赤岳手前で長野側の崖を転落 |
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筒石洵作 | 富士造機総務部勤務,子供はいない | 赤岳近くで刺され山梨側に転落 | |||
筒石穂波 | 洵作の妻で宮島と不倫関係 | 小さなブティックを経営 | |||
樋口順三 | 富士造機の課長で筒石の山仲間 | 事件後,穂波に言い寄るが八ヶ岳で殺害 | |||
由紀子 | 穂波のブティックに勤務 | − | |||
川上理恵 | 穂波の末の妹 | 二人とも一種の生活破綻者 | |||
川上晋司 | 理恵の三番目の夫 | ||||
分類 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | これも殺人の現場に山が使われているが山岳小説の要素は殆ど無い | |||
文学度(小説度) | これもTVサスペンスドラマ風の殺人・不倫読み物 | ||||
読後感 by Yamazaki |
これも山岳小説とか推理小説のつもりで読んではイケナイ種類の読み物で出張時等の車内の時間つぶし用。 それにしてもサスペンスドラマではどうしてこうも簡単に何人もの人を殺すのだろう! |
刊行 | 2004年4月(山と渓谷社) | |
時代 | 1991年〜2002年 | |
経歴 | 無酸素・アルパインスタイルを貫く世界的クライマー ソロ(単独行)や2,3人での登攀に専念する。 伴侶の妙子夫人は最高のザイルパートナーでもある |
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(1) | ブロード・ピーク(8、047m)登頂 | 東京都山岳連盟の遠征に参加して,極地法で最初の8,000m峰に登る(1991年) 以後はアルパインに特化 |
(2) | メラ・ピーク西壁(6,473m)とアマ・ダブラム西壁(6,812m) | ヒマラヤ メラ・ピークでの初のソロクライムは敗退(1992年) 冬季アマ・ダブラム西壁単独は初登(1992年) |
(3) | チョ・オユー南西壁(8,201m) | 新ルートをソロで初登(1994年) |
(4) | レデイーズ・フィンガー南壁(5,985m) | 妙子ほか計3名で南壁初登(1995年) |
(5) | マカルー西壁(8、463m)とマナスル北西壁(8,163m) | マカルーは落石直撃で敗退(1996年) マナスルは雪崩で敗退(1998年) |
(6) | K2南南東壁(8,611m) | 東壁は天候不順で中止して,南南東リブからソロ初登(2000年) |
(7) | ギャチュン・カン北壁(7,952m) | 北東壁は雪崩帯で中止して妙子と北壁の第2登,下山時に雪崩直撃,二人宙づりとなり凍傷・高山病で死亡一歩手前で二人下山。二人とも手足の指を何本も失う(2002年) |
分類 | 小説ではないが,登攀記(ドキュメンタリー)でもない。 ソロクライミングへの熱情を書いた日記に近い | |
読後感 | ・世界的クライマーは常人とは異なる生き方を選ぶことが繰り返し繰り返し述べられているのは文章屋でないので仕方ないのかも知れない。 .・第7章のギャチュン・カン北壁の登攀と下山中の遭難と奇跡的な生還はこの一冊のエッセンス。 ・夫婦して手足の指を凍傷で何本も失い,なお今もクライミングを続ける情熱はもはや狂人の領域に入っているようだ。 ・2008年にNHKで放映された北極圏の大岩壁オルカへの挑戦を視聴した人も多いと思う。 |
刊行 | 2005年(新潮社) | |
時代 | 2002年9月 | |
キーワード | ギャチュンカン(7,952m)北壁 アルパイン・スタイル 凍傷 | |
登場人物 | 山野井 泰史: | 世界的岩登り 「垂直の記憶」の著者 |
山野井 妙子: | 世界的な女性岩登り | |
ギャルツェン・シェルパ: | ギャチュンカン遠征時のガイド | |
アタックと遭難 | 9月1日成田→カトマンズ→9月7日ニェラム村(チベット)→ティンリ村→エベレストBC→ギャチュンカン氷河BC(5,500m) | |
ジウダリ峰(6,711m)にてギャチュンカン北東壁は断念→北壁に変更→10月5日アタック開始 | ||
14:00北壁取り付きでビバークテント→6日03:30出発→19:00,7,000m地点でテント→7日18:00,7,500mビバーク・右足に異常→8日不調の妙子は登攀断念,山野井単独で山頂到達(第2登成功) | ||
15:00妙子の待つビバーク点に戻る→9日7,200m点でビバーク・雪崩あり→10日下降中に雪崩→11日深夜ブランコ状態で二人ビバーク→11日6,300m地点で妙子を見失い一人グリセード降下,二人デポ地点に戻りビバーク→12日荷物を捨てて下山へ,岩陰でビバーク→13日山野井BCまで下山,1時間遅れて妙子もBCへ | ||
山野井は右足の指5本と右手の小指・薬指を切断手術,妙子は手の指は全て切断手術 | ||
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 壮絶な遭難からの帰還 |
文学度(小説度) | 中度 あくまでドキュメンタリー | |
読後感 by Yamazaki |
・山野井本人の『垂直の記憶』と比べると,さすがに沢木の文章は流れるようである | |
・この後もクライミングに挑み続ける二人はやはり人間の領域を越えているとしか思えない |
刊行 | 1968年(山と渓谷社),2004年(中央公論新社) |
著者 | ・日本を代表するクライマーの一人で,アルパインスタイルを追求する |
・1967年に遠藤・星野と共にマッターホルン北壁の冬期登攀(第3登) | |
・1971年グランドジョラス北壁の冬期登攀(第3登) | |
・1976年ジャヌー北壁の初登頂 | |
1996年マナスル登頂後遭難死 | |
読後感 | ・小説ではなく登攀のドキュメント |
・北壁登攀の歴史や登攀での装備・食糧更に気象条件や登攀ルートなどについても記載 | |
・世界のクライミングの歴史とアルピニズムの発展経過,日本のアルピニストへの警鐘は説得力がある |
刊行 | 1972〜74年(山と渓谷社),1974年(中央公論新社) | |
時代 | ・昭和40年代の大学の山岳部が舞台 | |
キーワード | 特にない | |
登場人物 | 寺田陽子 | 山岳部の新人女子 物語の主人公で森とパートナーを組む |
森幸江 | 同 勝気が異常に強い女性 | |
松岡弘 | 東都学院大山岳部主将 寺田が密かに憧れる | |
北川修一 | 同 副主将 森に気を惹かれるが叶わない | |
山行履歴 | 谷川岳 | 山岳部の新人雪上訓練 北川が衝立岩登攀するが森を1ピッチで下山命ずる |
穂高岳滝谷など | 岩登りの基本訓練 森は東洋外語大と社会人登山倶楽部メンバーに取り入る | |
剱岳西面 | 森は寺田と共に強引に社会人登山倶楽部の剱岳山行に同行するが,森はスラブ試登で2mの滑落 | |
北岳バットレス | 松岡を東洋大メンバーと北岳へ 二人でバットレスをアタックするが森が滑落 | |
鹿島槍 | 山岳部の後立山縦走隊のサポートを利用して鹿島槍へ 雪崩に巻き込まれ雪洞で圧死寸前 | |
黒部別山東壁 | 4名で別山東壁目指す 登山倶楽部会長が丸山東壁で滑落死 別山東壁では北川が転落,松岡と二人は下山。 森は寺岡と共に更に東壁を登るがサポートの寺田は・・・・・・・・。 | |
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 物語の舞台には山好きは引き付けられる |
文学度(小説度) | 低度 4人の登場人物の描き方に厚みが足りないのが致命的 | |
読後感 by Yamazaki |
・当時の大学山岳部の群像ストーリーだが最終局面で突如サスペンス風に終わる 動機不明で前触れ無しの行動は余りにも不自然だ | |
・筆者がかなり山を登っていることは良くわかるが,いくら何でも新人女性がいきなりこれほど大胆・勝手な行動を繰り返し,主人公が行動を共にするのは展開に無理がある |
刊行 | 1971年(毎日新聞社) |
著者 | ・日本を代表する冒険家 |
・五大陸最高峰を世界初の踏破 | |
・1984年2月北米マッキンリー世界初の冬期単独登頂後,連絡を絶つ | |
・同年4月『国民栄誉賞』を授与 | |
読後感 | ・植村自身による冒険自伝 小説ではない |
・1965年のゴジュンバ・カン峰初登頂からモンブラン・キリマンジェロ・アコンカグア・エベレスト・マッキンリーへの登頂(1970年)やアマゾン単独イカダ下りなどの登山・冒険などが淡々と記せられている | |
・桁外れの行動力・実行力を本人は特別意識しているようには見えないのが驚きである |
刊行 | 2015年(講談社) | |
時代 | リアルタイム | |
キーワード | ザイルの傷・雪崩・遭難・生き延びる・アルペンビーコン2500・PTSD | |
登場人物 | 増田直志:謙一の弟 密かに美月に好意を持つ | 加賀谷善弘:白馬での山岳ガイド |
増田謙一:美月と婚約 白馬で美月を失う | 東恭一郎:白馬で妻を失い,カンチェンジュンガ山行を計画 | |
清水美月:聡明な山女 白馬で遭難 | 高瀬正輝:レスキュー隊で救助失敗して心の傷を持つ | |
風間葉子:直志の心を支える看護師 | 八木澤恵利奈:雑誌の編集部員,直志と共にカンチ峰遭難の真実を探る | |
山行履歴 | 厳冬期の白馬岳 | 加賀谷のガイドで5組の男女のツアー 猛吹雪で男性5人が自力下山,女性と負傷の加賀谷はビバーク |
カンチェンジュンガ | カンチ山塊の未踏の針状峰目指すが大雪崩で遭難 謙一ら4名死亡 高瀬と東は自力下山 直志は謙一のザイルに細工を見つける | |
カンチェンジュンガ−2 | カンチ峰目指す高瀬を追い直志・恵利奈もカンチへ 直志隠れクレバスを踏み抜き落下,宙づり状態でビーコン反応 クレバス底で3人は加賀谷の遺体を発見 | |
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 専門用語なども詳細に調べ上げて使われている印象 |
文学度(小説度) | 中度 山岳ミステリーとして旨く筋立てされている | |
読後感 by Yamazaki |
それはないよ!というストーリー展開もあるが,文章力があり一気に読み切ってしまう | |
本当のところは不明で,推定で終わるのはかえって山岳小説らしくて良い |
羽根田 治ほか:『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』 PageTopへ
刊行 | 2010年8月(山の渓谷社) |
遭難の概要 | ・ツアー参加者15名とガイド3名のパーテイー |
・旭岳温泉→旭岳→白雲岳避難小屋(泊)→忠別岳・化雲岳→ヒサゴ沼避難小屋(泊)→北沼渡渉点(2名死)→北沼分岐先(2名死)→南沼手前(1名死)→トムラウシ公園(3名死)→トムラウシ温泉 ツアー者7名及びガイド1名が低体温症で死亡 | |
遭難の要因 | ・降雨と強風による急激な低体温症 |
・体力不足のメンバーもいた | |
読後の私の反省点 by Yamazaki |
・冬季でなくても強風・濡れ等が重なると一気に低体温になる恐れがあることを充分認識することが大切である また,低体温の時の初期症状を理解しておくことも重要である |
・低体温の初期症状が見られたときは防寒衣重ね着やビバークツェルト利用などの早めの判断が重要である | |
・体力維持のための十分な食料の確保と摂取は生死を分けるポイントになる |
刊行 | 1967年6月(新潮社) | |
時代 | 昭和11年〜15年 日華事変から太平洋戦争へ向かう直前 | |
キーワード | 黒部第3発電所 隧道工事 高熱帯 軌道トンネル・水路トンネル | |
登場人物 | ・佐川組 藤平健吾工事課長 根津と共に前例のない高山の高熱帯の隧道工事を推進 | |
・佐川組 根津太兵衛工事事務所長 隧道工事の大ベテラン | ||
経過 | S11年6月 黒部鉄道が欅平まで開通 | |
〃 8月 日本電力社の黒部第3発電所〜仙人谷ダム計画着工 第一工区(加瀬組) 仙人谷ダム,仙人谷〜阿曽原谷の水路・軌道トンネル 横抗30mで65℃となり撤退 第二工区(佐川組) 阿曽原谷〜蜆坂谷の水路・軌道トンネル 加瀬組撤退により第一工区も請け負う 第三工区(大林組) 蜆坂谷〜水路・軌道トンネル及び第3発電所 |
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佐川組スタッフ:天知工事監督主任・根津工事所長・藤原工事課長・青山技官千早技官 | ||
S13年5月 横坑60mで75℃ 6月 85℃:黒部川の水を放水冷却 7月 横坑80mで95℃ | ||
7月20日 立坑で熱気排出するも107℃ 7月28日 熱気でダイナマイト暴発,8名爆死 | ||
10月5日 横坑が本坑に到達,132℃ 本坑の阿曽原〜仙人谷のトンネルに集中,140℃ | ||
12月27日 志合谷の作業員宿舎が泡雪崩で崩壊,犠牲者84名 | ||
S14年3月 工事再開 6月5日 162℃ 7月5日 165℃ 8月20日 水路トンネル貫通 | ||
S15年1月 阿曽原谷宿舎が泡雪崩で崩壊,死者28名 4月末 166℃ | ||
6月14日06:10 水路トンネルが貫通 | ||
11月21日 仙人谷ダム・第3発電所が完工 佐川組の人命損失は233名 | ||
読後感 | 山岳度(ドキュメンタリー度) | 山岳小説ではない 舞台は黒部峡谷の第3発電所工事現場 |
文学度(小説度) | ドキュメンタリータッチで難工事の迫力に圧倒される | |
読後感 by Yamazaki |
・戦争前夜の国家的大事業を,当時の機械力のない時代に多大な犠牲を伴い完工させた執念は今では理解することも不可能に近い ・舞台が黒部だけに山好きの人には一読を勧める |
刊行 | 1957年5月(実業之日本社) | |
時代 | 戦前戦後 | |
キーワード | 岳人にして随筆家 戦後の登山家たちに大きな影響を与えた |
刊行 | 2004年(小説現代)の短編小説 | |
時代 | リアルタイム | |
キーワード | カスール・ベーラ(ヒマラヤ山系の仮想の高山7981m) ,ホワイト・タワー,山頂写真 | |
登場人物 | 刈谷修 | 成稜大山岳部OB,ホワイト・タワー単独初登攀三十四歳 |
御田村良弘 | 成稜大山岳部OB,カスール・ベーラ初登頂 | |
御田村和樹 | 良弘の一人息子,成稜大山岳部の学生 | |
私:『灰色の北壁』の作者 | カスール・ベーラ初登頂,ホワイト・タワー単独初登攀の真相を探る | |
山行履歴 | 1980年御田村がカールス・ベーラ南東稜から初登頂 | |
1999年狩谷がカスール・ベーラ北壁を初登攀 | ||
2004年狩谷はカンチェンジュンガで落石死 | ||
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 専門用語なども詳細に調べ上げて使われている印象 |
文学度(小説度) | 中度 山岳遭難を舞台にした読み物 | |
読後感 by Yamazaki |
著者は推理小説やミステリー小説を多く手がけているらしいが,山の関連資料を詳細に調べたうえで執筆したと思われる | |
最後の展開は予想外であり面白く読み終わった |
刊行 | 2004年(乱歩賞作家赤の謎)の短編小説 | |
時代 | リアルタイム | |
キーワード | 剱岳源次郎尾根T峰 富山県山岳警備隊 | |
登場人物 | 矢上浩太 | 成稜大山岳部部員で瀬戸口のザイルパートナーでライバル |
瀬戸口幸夫 | 同じ山岳部部長で矢上の同期生 | |
樋沼猛 | 警備隊OBで通称黒部の羆 北峰ロッジの小屋主 | |
山行履歴 | 矢上,瀬戸口の二名で11月初に剱岳源次郎尾根T峰の手前で瀬戸口が長次郎谷に滑落 | |
救助の樋沼が遭難地点に到着,宙ずりの瀬戸口を背負い小さな岩棚でビバークする | ||
翌朝救助隊が尾根に到着,引き上げ態勢に入った時矢上が滑落して雪に埋まるが,樋沼が下降して担ぎあげて救助 | ||
25年後,救助隊と共に北峰ロッジの矢上が氷壁の遭難者を救助 | ||
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 中度 専門用語なども詳細に調べ上げて使われている印象 |
文学度(小説度) | 中度 山岳遭難を舞台にした読み物 | |
読後感 by Yamazaki |
著者は推理小説やミステリー小説を多く手がけているらしいが,山の関連資料を詳細に調べたうえで執筆したと思われる | |
この小説も最後の展開が結構予想外であり面白く読み終わった |
刊行 | 2005年(小説現代)の短編小説 | |
時代 | リアルタイム | |
キーワード | 北笠山2,435m 折笠山2,131m 折笠山避難小屋 | |
登場人物 | 坂入譲 | 北笠連山への春山縦走リーダーで,メンバーと共に遭難死 |
野々垣雅司 | 譲のいとこで多映子に恋心 | |
岡上多映子 | かつて譲の婚約者 | |
坂入慎作 | 譲の父親 | |
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 山岳度は低い |
文学度(小説度) | 中度 山岳遭難と恋愛を舞台にした読み物 | |
読後感 by Yamazaki |
著者は推理小説やミステリー小説を多く手がけているらしいが,山の関連資料を詳細に調べたうえで執筆したと思われる | |
この小説も最後の展開がひねってあるがあっさりと読み終わった |
刊行 | 2020年(朝日出版)の調査・検討ドキュメント | |
時代 | リアルタイム | |
キーワード | 剱岳のファーストクライム 山頂の錫杖頭と鉄剣 | |
登場人物 | 著者の検討の記であり,登場人物は特にいない | |
読後感 by Yamazaki |
山岳度(ドキュメンタリー度) | 低度 山岳度は低い |
文学度(小説度) | 中度 文学(小説)ではない | |
調査・検討と結論 | 著者は探検家と自称し,新田次郎の『点の記』に触発され剱岳の初登頂者を調査・考察した。 | |
立山開山の越中の守佐伯有若であれば別山尾根ルートを選ぶが,当時の支度でカニのたてばい、よこばいの登攀は不可能と結論 | ||
麓から剱岳を望む早月尾根ルートは柴崎 芳太郎も最初に着目したルートで,可能性を推定 | ||
馬場島→菊石→ガキガンドウ→」ハゲマンザイ→気和平→早月の餓鬼の田→カニのはさみ→剱岳というルートと結論 | ||
読後感 by Yamazak |
古文書・土地の言い伝え・古くからの地名など詳細に調べた労作であるが,最後に興福寺僧侶の松室法橋と奈良万歳郷の万歳氏が早月ルートから初登頂したと結論付けるのは若干都合の良い推定が過ぎる印象になっている |