絶滅危惧の日本語たち Homeに戻る漢字表示ひらかな意味参考面映ゆいおもはゆい照れくさい,恥ずかしい,きまりが悪い止む事ないやんごとない極めて尊い,とても高貴である恙無いつつがなく何事もなく無事である恙:ツツガムシ病にかかっていない−そこはかとなくはっきりとはしないが,なんとはなしにそこはかと:どこがどうと,はっきりしているさま−ゆめゆめしっかりと注意して身綺麗みぎれい身なりも全体も小ざっぱりしている掌たなごころ手のひらのこと丹精を込めるたんせいをこめる真心を込めて事にあたること−たおやか姿かたちや物腰が,しなやかで優しい手弱女:たおやめ真秀まほろばすぐれた,よい場所(国)暮れなずむくれなずむ暮れそうで暮れないさまなずむ:すんなり進まない,滞る夜も過がら夜もすがら一晩中過ぐ:初めから終りまで続く−しじま静まり返っていること夜のしじま勇み肌いさみはだ男気があって威勢のいいこと勇む:威勢よく,はやり立つ鯔背いなせ粋で,男っぷりがよい鯔(イナダ):ボラの幼魚蓮葉はすっぱ態度や行いが軽はずみで,浮気っぽい女性蓮:信用できない,浮ついたもの唐変木とうへんぼく間の抜けた変な奴変わり者で,わからずや蒲魚かまとと当たり前のことを知らないふりする人蒲鉾もトト(魚)か?阿婆擦あばずれ人ずれして,あつかましい人間(女)悪場ずれ盆くらぼんくら何事につけても,ぼんやりしている,うつけもの盆:博打の壺のこと埴猪口へなちょこ未熟者,取るに足りないもの埴(へな):粘土のこと晩手おくて男女間の事情にうとい,世故にたけてない晩手・遅手(おくて)⇔早生(わせ)腕白わんぱくいたずら好きで,きかん坊な男の子腕白⇔おしゃま末成うらなり妙にひん曲がっていて,ひょろひょろしたヤツうら:末嫡嫡ちゃきちゃき(の江戸っ子)生まれも育ちの生粋の江戸の人嫡々:正しい系統を受け継ぐこと妙齢みょうれい(の女性)年が若い,うら若い(女性)妙:若い 妙麗:年とは別に美しい(女性)左利きひだりきき利き手が左/酒飲み左手にはノミ(飲み)を持つ 薩摩守さつまのかみ薩摩守忠度(さつまのかみタダノリ)=無賃乗車キセル:雁首と吸口だけが金(カネ)間男まおとこ人妻が夫の目を盗んで,他の男と密通すること指南役しなんやく物事を教える役の人指南車:磁石を利用して常に南を向く人形を乗せた車好事家こうずかやや趣味がかかったことや風流に拘わる人太公望たいこうぼう周の祖太公が待ち望んでいた人(呂尚リョショウ) → 釣り好き土佐衛門どざえもん江戸時代の相撲取り『成瀬川土佐衛門』 → パンパンに膨れ上がった水死体物怪の幸いもっけのさいわい思いがけない幸い,予想するより良かったこと合点(承知)がってん良しとしたり,承知したりすること合点承知の介板につくいたにつく板=舞台 地位や仕事に慣れきっているさま外連みけれんみはったりとか大げさなことをしない人けれん=意表をついた演技や演出で客の目を引くこと御祓箱おはらい箱古いものを売ったり,処分したりすること伊勢神宮:新年に新しいお札や暦を入れた箱を配った十八番おはこ得意芸のこと市川家の得意芸の歌舞伎十八番−しこたま程度のはなはだしいサマしこだめる:むやみやたらと貯め込む事塩梅,按配,案配あんばいものごとを程よく処理すること半ドンはんどんドンタク(オランダ語):日曜日 その半分の土曜日山の神やまのかみ年を経て強くなった奥さんカミサン(内儀さん):人妻一般の軽い敬称で親しみがある山勘やまかんやま=鉱山 勘に頼って一か八かの勝負下馬評げばひょう下馬=馬から降りること 下馬札の付近で,お付の者達はお帰りを待ち噂話を繰り広げたりする−チャリンコ子供のスリの隠語 → すばしっこい動きママチャリ:主婦用の自転車赤目あっかんべえ気持ち悪い顔をして相手をからかったり,拒否したりする便乱坊べらぼう程度のはなはだしいさま ふざけるなとののしる言葉べらぼう → べらんめえ千秋楽せんしゅうらく雅楽の曲名で,法会などで最後に演奏される千秋楽 → らく,らく日総好かんそうすかん皆が好かんと反応すること村八分むらはちぶ八部:仲間はずれ,のけ者にする破廉恥はれんち廉恥:潔白で恥をしる心が強いこと破廉恥 → ハレンチ:性的な乱れ具合折り紙つきおりがみつき鑑定書や推薦書がついているような,信用できるもの折り紙:古文書の形式の一つで『立て紙』よりは略式お墨付きおすみつき主君の花押(証明の印)があるような保証されたもの花押(かおう):主君の直筆のデザイン化されたサイン札つきふだつき芳しくない評判が世に知れわったていろこと虚仮(こけ)にするこけにする真実でないこと,考えの浅いこと虚仮:仏教用語で,万物は虚で実体が無いこと臍(ほぞ)をかむほぞをかむもはや取り返しのつかない事態になった深刻な後悔臍:へそ 自分で自分のへそを噛もうとしても,不可能だ三国一さんごくいち世界一 唐(中国),天竺(インド),日本で一番ポンコツぽんこつ廃車寸前の自動車を解体するときのポンポンコツコツという音 故障ばかりして使い物にならないもの徒花あだばな実を結ばないで散る花のように虚しいこと−ねんごろ心のこもった親身な様,仲むつまじい首丈首ったけ首丈=足もとから首までの高さ,物事が多く積もる様 → ある対象に注ぐ気持ちや思いが深く,はまり込んでしまう−てんやわんやてんでんに皆がバラバラに騒いでいる大騒ぎの状態酒落臭いしゃらくさい分に似合わず気の利いた真似をして生意気だ=聞いたふうなこと−へんもほろろキジの泣き声=ケンケン,ホロホロ → 相手の気持ちなど斟酌せず,いともあっさりと冷たく断る様子−しどけない=だらしない様度しがたいどしがたい済度=仏教語で救済 → 道理を説いて説いても,一向に分かってもらえない様子退引(のきひき)のっぴきならない退くことも引くこともできず,動きのとれない困った状態嬲るなぶるからかったり,もてあそんだりする−しょぼくれる少しずつ降り続く小雨に濡れたように,いかにもみじめったらしい状態−いの一番(いろは順の)一番に,最初に−下駄を預ける物事の処理,先行きのことを他人に任せてしまうこと−ちゃんちゃらおかしいちゃら=いい加減で出鱈目なこと → まったく馬鹿げていて,とるに足らないおっとり刀で駆けつけるおっとりかたなでかけつける余程の緊急事態で,大慌てで駆けつける押し取る → おっとり:刀を急いで手に取る(腰にさす間もなく)鉾を収めるほこをおさめる戦いをやめること四苦八苦しくはっくさんざん苦労した末のこと仏教語 四苦=生・老・病・死 八苦=四苦+愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五韻盛苦詰め腹を切るつめばらをきる不首尾の責任を取らされること腹=切腹 詰め腹 → 有無を言わさず切腹させる焼きが回るやきがまわる焼入れの火が回りすぎると,かえって鈍くなる → 腕前や頭の働きが衰えること−オシャカになる死ぬこと,物事がダメになること → お陀仏 → お釈迦お茶にするおちゃにする軽く扱ったり,バカにしたりする茶化す(ちゃかす)−ちょろまかすごまかしたり,言いまぎらわしたりするちょろ=わずかなこと 御座なりおざなりその場限りの,もっぱらいい加減なこと御座=お座敷 等閑なおざりさして心にとめないこと,本気でないこと蓋けだしほぼ確かなことを推定したり,判定したりする時に使う−いみじくもとても良いことに・・・・いみじ=程度がはなはだしいこと中就なかんずくいろいろなことの中でも一部のことや一つのことを格別に取り立てるときの表現 中に就く → 中ん就く細工は流々さいくはりゅうりゅう何につけてもやり方,方法はいろいろあるが手は打ってある気が置けないきがおけない相手に対して気配りや遠慮をしなくても良い気を置く=相手を気づかったり,遠慮すること敷居が高いしきいがたかいもともと付き合いがあった家だが,行きにくくなった進退谷まるしんたいきわまる前に進むことも,後ろへ退くこともできず進退がいかんともしがたい元の木阿弥もとのもくあみいつのまにか元に戻ってしまうこと阿弥=浄土宗の僧が名前につける称号 木阿弥=木という名の僧お門違いおかどちがい人のことを婉曲にその人の家の門と例える → 相手が違う上気にもださないおくびにも出さない周りの人々に少しも匂わせないことおくび=げっぷ,あくび → 人に知られず,静かにそっと出すもの沽券にかかわるこけんにかかわる自分の品位,世間体に差し障ること沽券=財産や土地などの売買契約書 → 品位,品格,メンツ片腹痛いかたはらいたい言動や態度があまりに身の程知らずで見苦しく滑稽だ傍痛(カタワライタシ) → 片腹痛い−にべもないそっけなく,愛想も愛嬌もないニベ = ニカワ → とりつくしまも無い,思いやりが無い油をしぼるあぶらをしぼるゴマや椿を“しめ木”に掛けて油を搾り出す → ぎゅうぎゅう,こってり油を売るあぶらをうる髪油を売っては話し込んでいる油売り → 余分な時間を掛けていること大目玉おおめだま怒って大きくむき出した目を向けられること目の上のたんこぶめのうえのたんこぶ何を見るにつけ邪魔になる岡目八目おかめはちもく碁を指す本人より,はたで見ている人のほうが先の手まで読める 岡=傍ら鯱ばるしゃっちょこばるいかにも威厳をつくって威張って見せること,身体をこわばらせたりすること−てんてこまいあわただしく立ち回るさま太鼓の音(てんてこ)に合わせて舞うこと二の舞にのまい雅楽の舞いで,後半の舞のこと → 前の人と同じ失敗をすること片肌脱ぐかたはだぬぐ威勢よく他人の手助けをすること味噌をつけるミスをつける失敗したり,面目を失ったりすることミソをつける:名誉や体面をけがすことシャッポを脱ぐシャッポをぬぐ謝る,降参する,心から敬服する兜を脱いで降参する,脱帽する引導を渡すいんどうをわたす迷っている人に結論に導いてあげる引導を渡す:迷える人間に仏法を説き,仏門に導くことお先棒を担ぐおさきぼうをかつぐ先棒=駕籠かきで前を担ぐ → 軽々しく人の言いなりになって動くこと片棒を担ぐかたぼうをかつぐ先棒でも後棒でも,兎に角その一方を担ぐ → 悪事に加担すること乙おつ普通と違っていて,洒落ていたり情緒に富んでいたりすること 甲:甲高い音調 乙:一段低いが,しんみり洒落た音調穿ったうがった簡単には見つからないような点に目をつけ,指摘すること 穿つ:孔を開ける事,突きぬくこと矢継ぎ早やつぎばや矢を続けざまにつがえて射るように間髪を入れずに続けること小股の切れ上がった(いい女)こまたのきれあがったすらっとした姿のいい女性小股=下腹部の鼠ケイ部の鼠ケイ線?チョットしたしぐさの接頭語?若い燕わかいつばめ年上の女性の愛人の若い男性男子の本懐だんしのほんかい本懐=本望,かねてからの強い願い袖振り合うも他生の縁そでふりあうもたしょうのえん他生の縁=前世と来世で結ばれる深い深い縁多少の縁=何度も生を繰り返す輪廻で結ばれた深い縁感謝感激雨あられかんしゃかんげきあめあられ大いに感謝し感激しているとは言うもののチョット軽薄な気分もここで会ったが百年目ここであったがひゃくねんめずっと探していた人物とようやくめぐり合った百年河清を俟つひゃくねんかせいをまつ黄河の水は百年待っても澄むことはない → 現実性のないことのたとえ その黄河も千年に一度は澄むと云われるがクワバラ,クワバラ雷よけの呪文 → 失敗して,危ない目に合いそうになったなったときの表現げんを担ぐげんをかつぐ験:しるし,あかしを意味する:縁起 ある行為をすることによって,良い結果や好ましい効果を狙う 神仏頼みの行為その手は桑名の焼き蛤恐れ入谷の鬼子母神知らぬ顔の半兵衛平気の平左驚き桃の木山椒の木・・・・・・それにつけても金の欲しさよ・・・・・根岸の里のわび住い結構毛だらけ猫灰だらけ。見上げたもんだよ屋根屋のフンドシ。見下げて掘らせる井戸屋の後家さん・・・・・・・・・・向こう三軒両隣り据え膳食わぬは男の恥
倉島長正著 『日本人が忘れてはいけない 美しい日本の言葉』
Homeに戻る PageTop へ