雑学四文字熟語
知っておくと単に優越感を満たす四文字熟語たち
旺文社『四文字熟語辞典』より抜粋
愛別離苦 | あいべつりく | 親子・兄弟・妻子など愛し合う者が生別/死別する苦しみ。 恋人との別れの辛さ悲しさ。 仏教の八種の苦悩 生・老・病・死・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦・愛別離苦 |
悪人正機 | あくにんしょうき | 悪人(自己の罪を自覚する者)こそ,真の仏の救いが得られるという考え方。 親鸞の 『善人なおもて往生を遂ぐ,いわんや悪人をや』 からきた言葉。 |
蛙鳴蝉噪 | あめいせんそう | ただうるさいだけで,くだらない議論や,大げさで下手な文章をあざける表現 |
安心立命 | あんしんりつめい あんじんりゅうみょう |
心を安らかに保って,どんな場合でも動揺しないこと。 信仰の力によって天命を知ること。 |
安信立命 | あんしんりつめい あんじんりゅうみょう |
仏教語:身を立て,心に憂え悩むところがない |
暗中飛躍 | あんちゅうひやく | 世間に知られないように密かに策動すること。 =暗躍 |
一意専心 | いちいせんしん | 他のことに心を向けず,ひたすらひとつの事に心を集中すること |
一衣帯水 | いちたいすい | 一本の帯のように細長く続く川や狭い海峡などのこと。 そのような狭い川や海を隔てて接近していること |
一言居士 | いちげんこじ いちごんこじ |
何事にも自分の意見をひとこと言わなければ気のすまない人のこと。 通常は軽蔑の気持ちを込めた表現 |
一陽来復 | いちようらいふく | 冬が終わり春が訪れること。 新年になること。 苦しいことの続いた後に,ようやく幸運が向いてくること。 |
一粒万倍 | いちりゅうまんばい | 一粒の種も地に播けば,万倍の粒に増えること。 わずかなものから多大な利益を得ることのたとえ。 一つの善行によって,仏の限りない恩恵が受けられることのたとえ。 |
一竿風月 | いっかんふうげつ | のんびりした人生を送ることのたとえ。 一本の釣竿を友として,俗事を忘れて自然の風物を楽しむこと。 |
一顧傾城 | いっこけいせい | ちょっと流し目に見るだけで人の心を乱したり,国を滅ぼすに至るほど妖艶な女。 絶世の美女のこと |
一視同仁 | いっしどうじん | だれかれの区別なく,全ての人を平等に見て同様に扱うこと。 |
一瀉千里 | いっしゃせんり | 物事が非常に早く一気に進むこと。 文章や弁舌が流れるように明快でよどみがないこと。 川の水が千里もの長距離を勢い良く流れ下る(=瀉)ことから |
一所懸命 | いっしょけんめい | 主君から賜わった一箇所の領地に命を託して,それを大切に守ること。 物事を必死にやること。 命がけで物事に当たること。 |
一炊之夢 一睡之夢 |
いっすいのゆめ | 人生の栄華のはかなさをたとえて言う。 唐の盧生が夢の中で栄枯盛衰を体験するが,目覚めてみると粟飯がまだ炊きあがってない程の短い時間だったことからきた言葉。 |
一擲千金 | いってきせんきん | 思い切ってたくさんの金を使うこと。 運命を賭けて,大仕事や勝負をする意味。 |
意馬心猿 | いばしんえん | 情欲や欲望にかられて,心が狂い騒ぐこと。 煩悩や私欲は抑えがたいというたとえ。 仏教語:こころが暴れ馬のようになり,騒ぎ回る猿のようになって,鎮めることが出来ない。 |
因循姑息 | いんじゅんこそく | 古い習慣・方法・習俗に従って改めず,その場を取り繕い言い逃れすること。 消極的でぐずぐずしているさま。 |
隠忍自重 | いんにんじちょう おんにんじちょう |
辛いことをじっとこらえて,自らを重んじて,軽はずみな行動をしないこと。 慎重であること。 悪く言えば引っ込み思案 |
有為転変 | ういてんぺん | 世の中が少しも静止することなく,常に移り変わっていること。 有為=この世の生滅変化するもの意味(仏教語) |
羽化登仙 | うかとうせん | 中国の神仙思想:人に羽が生えて仙人となり,天の仙界に登ること。 酒などに酔って,良い気分になることのたとえ。 |
雲烟過眼 | うんえんかがん | 物事に深く執着しないこと。 雲や烟(かすみ)が眼前を過ぎても,長くは心に残らないように,物事を深く心に止めないこと |
運否天賦 | うんぷてんぷ | 全て人の吉凶禍福は天の力によって決まるの意味。 運を天にまかせること。 |
会者定離 | えしゃじょうり | 会う人,あるいは会っている者は,必ず分かれる運命にあるということ。 世の無常を言う言葉。 |
蜿蜒長蛇 | えんえんちょうだ | うねりくねって長く続いている様子。 蜿蜒:竜や蛇がうねり行くさま。 |
遠交近攻 | えんこうきんこう | 秦のはんしょが唱えた策略:まず遠方の国と親しくして,近い国を攻め取り,さんだんと遠方の国々を攻めるという外交政策。 |
円転滑脱 | えんてんかつだつ | 言動が自由自在に変化し,物事が滞りなく進行すること。 人との対応などが,かど立たず巧みなこと。 |
会稽之恥 | かいけいのはじ | 敗戦の恥辱 敗戦して命乞いをするような恥辱。 心に刻んで忘れない恥辱のたとえ。 |
解語之花 | かいごのはな | 玄宗皇帝が愛妃楊貴妃を指していった故事:言葉を解する花,即ち美人のこと |
鎧袖一触 | がいしゅういっしょく | 弱い敵にほんの少し武勇を示しおどすこと また,簡単に相手を負かすこと。 よろいの袖で一触れするだけで負かしてしまうという意味。 |
街談巷説 | がいだんこうせつ | 市中のつまらない噂。 世間の噂。 |
偕老同穴 | かいろうどうけつ | 夫婦仲良く長生きをして,死後は同じ墓に葬られること。 夫婦の難い契り。 幸福な夫婦生活のたとえ。 |
下学上達 | かがくじょうたつ | 手近で初歩的なところから学び始め,やがて高遠な真理(奥義)にまで達し極めること。 人事をさとって天理に通ずること。 |
呵呵大笑 | かかたいしょう かかだいしょう |
からからと大声をあげて笑うこと。 |
蝸牛角上 | かぎゅうかくじょう | カタツムリの左の角にある触氏と右の角にある蛮氏とが地を争い戦ったという寓話:きわめて小さな世界のたとえ。 『蝸牛角上の争い』という |
格物致知 | かくぶつちち | 世の中の全ての道理をきわめ尽くして,学問知識を習得すること。 王陽明:日常行うところの万事の善悪を正し,天から賦与された『良知』を最高に開発する |
家書万金 | かしょばんきん | 異国で暮らしたり,旅先にいるときは,故郷の家族からの手紙が何よりうれしいということ。 |
隔靴掻痒 | かっかそうよう | 靴を隔てて痒きを掻く。 物事の核心になかなか触れられず,歯がゆいこと。 |
割鶏牛刀 | かっけいぎゅうとう | 小さなことをするのに大げさな手段を用いる必要はないこと。 |
活殺自在 | かっさつじざい | 生かすも殺すも思いのまま。 他人の運命を思うがままに操り動かすこと。 自分の思うがままに,自由自在にふるまうこと。 |
禍福糾纆 | かふくきゅうぼく | 人生の災いと幸福とは,表裏一体で,常に変転万化してきわまりないこと。 人間の幸不幸は,ちょうどより合わせた縄のように,どちらともさだまりがたいこと。 |
迦陵頻伽 | かりょうびんが | 仏教語:極楽浄土に住む想像上の鳥で,きわめて声が美しく,上半身は美女,下半身は鳥の姿をしているという。 声の大変よいもののたとえ。 |
間雲孤鶴 | かんうんこかく | のどかに空を飛ぶ白雲と,群れを離れた一羽の鶴。 俗世間の煩わしさから開放され,何の束縛も受けず,自然に親しんで暮らす境地。 |
汗牛充棟 | かんぎゅうじゅうとう | 牛車に乗せて引くと牛が汗をかくほどで,室内に積むと棟木に届くほど。 蔵書が非常に多いことのたとえ。 |
眼光紙背 | がんこうしはい | 紙の裏まで見通すほど,読書の理解力が鋭く深いさま。 |
眼高手低 | がんこうしゅてい | 理想ばかり高くて実行する力が伴わないこと。 目は肥えているが腕は下手。 |
換骨奪胎 | かんこつだったい | 骨を取換え,胎を取って自分のものとして使う:古人の詩文の語句や着想を取り入れて,独自の新しい作品とすること。 焼き直しという意味合いもある。 |
韓信匍匐 | かんしんほふく | 韓信が若いとき,町で無頼の徒に辱められ,その股をくぐり,よく忍んで後年大人物になったという故事:大きな目的を持つものは,目の前の恥を耐え忍ばなければならないということのたとえ。 |
肝胆相照 | かんたんそうしょう | 互いに心の底まで打ち明けて親しく交わる。 主に親友の間に付いていう。 |
邯鄲之夢 | かんたんのゆめ | 一炊之夢と同意。 |
歓天喜地 | かんてんきち | 天に向かって歓び,地に向かって喜ぶ:非常な喜びを表すこと。 |
汗馬之労 | かんばのろう | 戦場でウマに大汗をかかせて駆け巡る骨折り:物事を纏めるときなどに,駆けずり回る苦労をたとえる。 |
管鮑之交 | かんぽうのまじわり | 管中と鮑叔牙は幼い頃から無二の親友で終生互いに尊敬しあった:利害を抜きにした,極めて友情の厚い交際のこと。 |
頑迷固陋 | がんめいころう | 頑固で考え方に柔軟さを欠き,道理も分からず視野も狭く,古いものに執着すること。そのような人。 |
奇貨可居 | きかかきょ きかおくべし |
秦の太子の小の子楚が人質のとき,呂不韋が将来奇貨(珍しい品物)を旨く利用して自分の出世を図ろうとして言った言葉 : 絶好の機会を逃がしてはならないということ。 |
気随気儘 | きずいきまま | 自分の気持ちそのままにふるまうこと。 他人の動作を指すときは ”わがまま勝手” という意味合い |
鬼面仏心 | きめんぶっしん | 見た目は鬼のように怖い顔でも,本当は仏のような優しい心を持っていること。 |
記問之学 | きもんのがく | ただ古書を暗記し,他人の質問を待つだけにとどまり,少しも活用されない学問。 充分に自分のものになっていない学問 |
九牛一毛 | きゅうぎゅういちもう | 大量なものの中のほんの一部分 : ものの数にもならないこと。 取るに足らない些細なことのたとえ。 |
泣斬馬ショク | きゅうざんばしょく ないてばしょくをきる |
諸葛孔明が命令に背いて負けた馬ショクを泣きながら殺した故事 : 大きな目的や公の立場・法・基準を示すために,私情を交えず自分の最愛のものであっても処断すること。 |
行住坐臥 | ぎょうじゅうざが | 仏家の四威儀の行くこと・止まること・すわること・臥すこと : 日常の生活。 ふだんの立ち居振る舞いのこと。 |
拱手傍観 | きょうしゅぼうかん | 手をこまねいて何もしないさま。 手をを下さないで,脇で眺めていること。 |
曲学阿世 | きょくがくあせい | 曲学をもって時勢や権力者に媚びへつらい,人気を得るような言動をすること。 曲学=真理を曲げた学問 阿世=世間に媚びへつらい,おもねること |
旭日昇天 | きょくじつしょうてん | 朝日が天に昇るように勢いの盛んなさまやそのたとえ。 |
金甌無欠 | きんおうむけつ | 少しの疵もない黄金の甕の様に,物事が完全堅固で欠点のないこと : 国家が独立強固で,外国の侵略を一度も受けたことのないたとえ。 |
欣喜雀躍 | きんきじゃくやく | スズメが躍り歩くように,ぴょんぴょん飛び上がって喜ぶさま : 大喜びすること。 こおどりして喜ぶこと。 |
緊褌一番 | きんこんいちばん | 心を大いに引き締めて発奮し,十分の覚悟を持って事にあたること。 緊褌=ふんどしを引き締める |
金枝玉葉 | きんしぎょくよう | 天使の子孫,皇族,貴族などの高貴な身分をいう。 美しくたなびく雲のさま。 |
錦上添花 | きんじょうてんか | ただでさえ美しいものの上に,更に美しいものを加えて,この上なく麗しく立派なものにすること。 |
金城湯池 | きんじょうとうち | どんな攻撃にも負けない,頑丈な備え。 物事の極めて堅固なたとえ。 |
金襴之契 | きんらんのちぎり | 友人間の交際が極めて親密なこと。 『易経』:二人が心を同じくすれば,その鋭さは金属を断ち切り,心をひとつにした言葉は,香り高い蘭のようだ。 |
空谷跫音 | くうこくきょうおん | 孤独の寂しさを感じているときに,予期せぬ来訪者や便りのある喜び。 孤立している時に,同情者を得た喜びや頼もしく感じること。 |
空即是色 | くうそくぜしき | 万物は実体がなく,一切が空であるが,その実体のない空が,そのままに一切の物質現象である。 仏教語 色=生成し変化する物質現象のこと |
色即是空 | しきそくぜくう | 物質的な存在は,その真相,その本体において,空しい存在であり,執着される何物もないということ。 仏教語 色=感覚で知覚できる全ての事物や現象 空=実態がなく空しいこと |
愚公移山 | ぐこういざん ぐこうやまをうつす |
先を急がず,根気良く努力しつづければ,物事はいつか必ず成功するというたとえ。 昔愚公という老人が,太行山・王屋山という二つの山の北側に住んでいた。この山が邪魔なので愚公は取り除いて,南へ長大な道を作ろうと考えた。余った土石は,もっこで担いで渤海に捨てに行くことにして,家族一同力を合わせて働いた。これを見た智叟はあざ笑ったが,愚公は自分には子子孫孫いつまでも尽きることがないので,いつか必ず平にできると言った。智叟は返す言葉を失った。 山の神が天帝に報告すると,天帝は愚公の誠意に心動かされ,二つの山を他の地へ移してやった。 |
愚者一得 | ぐしゃいっとく | 愚かな者でも,たまには名案の一つも出すことがあること。 智恵ある者も,多くの考案の中には一つくらいは,良くない案があるように,愚か者の考えにもまれに妙案もあるから,人の話は良く聞くべきである。 |
君子三楽 | くんしさんらく | 君子(学徳の高い人)の持つ三つの楽しみ。 父母が健在で兄弟に事故がないこと,自分の行いが天や人に恥じるところがないこと,天下の英才を集めて教育すること。 『列子』では:人間として生まれ,男子として生まれ,長生きしていること。 |
葷酒山門 | くんしゅさんもん | 生臭い肉や臭気の強い野菜・酒の類は,精力がつきすぎて仏道修業の妨げとなり,破戒の原因ともなるので,寺内への持込みを禁止すること。 よく禅寺の山門や戒檀石などに示されている |
傾城傾国 | けいせいけいこく | 漢の李延年が武帝に『一たび顧みれば人の城を傾け,再び顧みれば人の国を傾く』というほどの美女と言って妹を紹介した : 君主が国や城を滅ぼしても顧みないほどの,絶世にして妖艶な美女。 その後,日本では傾城=遊女 |
経世済民 | けいせいさいみん | 世を良く治め民衆の苦しみを救うこと。 そのような立派な政治。 |
軽佻浮薄 | けいちょうふはく | 軽はずみで言動がしっかりしていないこと。 軽佻=考えが浅く,調子に乗って行動すること 浮薄=心がけや行動が軽々しく,上滑りで移り気なこと |
敬天愛人 | けいてんあいじん | 天を敬い,人を愛すること。 西郷隆盛:道は天地自然のものでなれば,講学の道は,敬天愛人を目的とし,身を収むるに克己を以って終始すべし |
鶏鳴狗盗 | けいめいくとう | 鶏の鳴きまねをして人を騙したり,イヌのまねをして物を盗んだりするくらいのことしかできない卑しいもののたとえ。 斉の孟嘗君が,『イヌの物まねをする食客に物を盗ませたり,ニワトリの鳴きまねをする食客によって函谷関を開かせ逃げ帰った故事』 |
月下推敲 | げっかすいこう | 科挙受験のため都に上がったときのこと,ロバの背で詩を作り『推:手で押す』の字を『敲:とんとん叩く』に代えるか大いに迷った。都の長官韓愈の一行と出会い韓愈は『敲』が良いと言った。以後二人はしばしば詩を語り合ったという故事 |
月下氷人 | げっかひょうじん | 男女の縁をとりもつ人。 結婚の仲人。 唐の時代,月光の下で一人の老人が『袋の中の赤い縄を取り出し,この縄で男女の足をつなぐと,たとえ敵同士でも必ず夫婦になる』と話し,『君の妻になる人は,町はずれの野菜売りの赤ん坊だよ』といわれた。 韋固は州長官の娘と結婚したが,その女はあの赤ん坊であった。 |
結跏趺坐 | けっかふざ | 座法のひとつ : 座禅するときの正しい座り方。 『金剛不壊の姿勢』 |
懸河之弁 | けんがのべん | 淀みなく話しまくる弁舌。 滔々として勢い良く流れるようにすらすらと淀みのない話し方。 |
牽強付会 | けんきょうふかい | 道理に合わないことでも,自分の都合のよいように無理にこじつけること。 宋の欧陽脩 『諸儒は付会の説を以って,之を乱す』 |
拳拳服膺 | けんけんふくよう | 心の底に銘記して常に忘れないこと。 |
乾坤一擲 | けんこんいってき | 乾坤=天と地 世界 擲=投げ打つこと さいころを投げて,天が出るか,地が出るかを賭けること。 天下をかけ,運命をかけて,大勝負すること。 |
捲土重来 | けんどちょうらい けんどじゅうらい |
一度負けた者が勢力を盛り返して攻め寄せること。 前に失敗した者が,もの凄い勢いで力を盛り返すこと。 捲土=強く速い風が土煙を巻き上げるさま |
堅忍不抜 | けんにんふばつ | つらく苦しいことにも,じっと耐え忍んで,心をぐらつかせないこと。 計画がしっかりと固まっていること。 |
権謀術数 | けんぼうじゅっすう | さまざまな計略をめぐらすこと。 相手をうまく騙すはかりごと。 |
懸腕直筆 | けんわんちょくひつ | 腕を上げて張り,肘を脇につけないで書く書法 : 筆で大きな字を書くのに適する |
行雲流水 | こううんりゅうすい | 物事にとらわれず,あるがままに移り行く自然の姿。 自然の成り行きに任せて行動するたとえ。 諸国を修行して回る禅僧(雲水)のこと。 |
剛毅木訥 | ごうきぼくとつ | 意志が強く,不屈な精神を持ち,しかも飾り気のないこと ”剛毅木訥は仁に近し” |
巧言令色 | こうげんれいしょく | 人の機嫌を損なわないように相手の顔色を見て,言葉をたくみに操り,こびへつらい,良い顔をつくろって見せること。 論語 : 『巧言令色鮮(すくな)し仁』 |
恒産恒心 | こうさんこうしん | 一定の職業を持ち,定まった財産を持っている者は,心にそれだけのゆとりがああるが,一定の職もなく,財産もない者は,道徳心もなくなり,精神的に不安定で,わずかなことにでも動揺してしまいものだ。 徒然草 : 『人,恒の産なきときは,恒の心なし』 |
膠漆之心 | こうしつのこころ | 深い友情を大切にする心。 膠漆=にかわとうるし=ぴったりとくっついて離れることのないたとえ |
口耳之学 | こうじのがく | 他人の学説をそのまま鵜呑みにして,すぐ人に話したりする,底の浅い,受け売りの学問。 いい加減な,なまかじりの学問は,少しも自分の身につかない。 荀子 : 『小人の学や,耳より入りて,口より出ず。口耳の間はわずかに四寸のみ』 |
後生可畏 | こうせいかい こうせいおそるべし |
後から生まれてくる者,また気力・体力共に優れた若者は,これから先,勉強しだい・努力しだいでどれだけの力量を持つか分からないので,その可能性は恐ろしいほどである。 |
浩然之気 | こうぜんのき | 自分の行いが道徳的に正しいときに感じる,何事にもこだわらないゆったりとした心。 のぴのびとして物事から開放された心持ち。 |
巧遅拙速 | こうちせっそく | 非常に良く出来ているが,出来上がりが遅いこと。 兵法 : 『巧遅は拙速にしかず』 |
幸運霽月 | こううんせいげつ | 雨後の清くさわやかな風と晴れわたった月。 心にわだかまりがなく,さっぱりとして清々しいこと。 |
紅毛碧眼 | こうもうへきがん | 西洋人のこと。 江戸時代には特にオランダ人に対して言った。 |
膏梁子弟 | こうりょうしてい | 美食をする若者。裕福な家の子供。 高貴の家や財産家のたとえ。 |
古往今来 | こおうこんらい | 昔から今に至るまで。 昔から。 |
呉下阿蒙 | ごかあもう | いつまでも進歩のない,昔のままの人物。 相変わらずの無学者。 |
狐仮虎威 | こかこい きつね,とらのいをかる |
他人の威光をかさにきて威張ること。 実力者の権威を利用して威張り散らす小人のたとえ。 |
狐疑逡巡 | こぎしゅんじゅん | 疑い深いキツネのように,事に臨んで疑いためらって,決心のつかないさま。 |
呉牛喘月 | ごぎゅうぜんげつ ごぎゅうつきにあえぐ |
思い過ごして取り越し苦労することのたとえ。 中国:呉の地は非常に暑いため,水牛が日照りを恐れるあまり月を日と見誤って喘ぐ |
告朔餼羊 | こくさくきよう | 古くからの慣習や行事は,いたずらに廃止してはならないたとえ。 |
国士無双 | こくしむそう | 国中に匹敵する人がいないほどの偉大な人材。 漢の時代,韓信の友人が『彼は国士無双の人物である』と劉邦に進言した。韓信は漢の大将軍になり,項羽を破った。 |
刻舟求剣 | こくしゅうきゅうけん ふねにきざみてけんをもとむ |
時勢の移り変わりを知らず,いつまでも昔のしきたりを固持する愚か者のたとえ。 楚:舟で揚子江を渡った際,途中で誤って剣を落とした。男はあわてて落とした場所の目印として舟べりに傷をつけ,対岸に着くや傷の所から川に入って探したが,見つかる訳もない。 |
股肱之臣 | ここうのしん | 主君の手足となって働く,最も頼みになる家来。 補佐として,いちばん頼みとする部下。 |
狐掌難鳴 | こしょうなんめい こしょうならしがたし |
相手がいなければ,何事も出来ないたとえ。 |
孤城落日 | こじょうらくじつ | 勢力が衰え,助けもなく非常に心細いありさま。 援軍のない城市に,今まさに沈もうとしている夕日 |
古色蒼然 | こしょくそうぜん | 長い年月を経て,見るからに古びた趣をたたえているさま。 |
牛頭馬頭 | ごずめず | 地獄の獄卒(鬼)のこと。 仏教語 : 牛頭=身体は人で,頭がウシのもの 馬頭=頭がウマであるもの → 醜悪なもののたとえ。 鬼のように人を責め苦しめる人のたとえ |
五臓六腑 | ごぞうろっぷ | 五臓=心・肺・脾・肝・腎 六腑=大腸・小腸・胃・胆・膀胱・三焦 |
壺中之天 | こちゅうのてん | 俗世間とかけはなれた別天地。 後漢の費長房が,町の店先で壺を掛けて商売をしていた薬売りの老人が売り終わると壺の中に入ったのを見て,頼んで壺の中に入れてみたところ,立派な室の中には美酒や肴が並んでいて,それを老人と共に試飲して出てきたという故事 |
胡蝶之夢 | こちょうのゆめ | 夢と現実との区別を忘れることのたとえ。 人生のはかないことのたとえ。 戦国時代の荘周が,胡蝶となった夢を見,さめた後,自分が夢で胡蝶となったのか,胡蝶が夢の中で自分になっているのか疑ったという寓話 |
克己復礼 | こっきふくれい | 欲望の行き過ぎを抑えて,社会の規範や礼儀に従って行動すること。 孔子が弟子の顔淵に,『仁』について答えた言葉 |
骨肉相食 | こつにくそうしょく こつにくあいはむ |
親子・兄弟姉妹など血縁関係にあるもの同士が,醜く争いあうこと。 |
古馬北風 | こばほくふう | 故郷への強い思いが,容易に断ち切りたいたとえ。 蒙古産のウマは,他郷に行くと北風が吹くたびに身を寄せて懐かしむ |
五風十雨 | ごふうじゅうう | 気候が穏やかで順調なこと。 世の中が平穏無事であることのたとえ。 五日に一度風が吹き,十日に一度雨が降ること |
鼓腹撃壌 | こふくげきじょう | 政治が良く行き届き,人民が太平の世を楽しむさま。 中国古代の聖王堯帝のとき,老農夫が腹鼓を打ち,足で地面を踏みならして拍子をとり,世の太平を歌っていたという故事 |
欣求浄土 | ごんぐじょうど | 死後に西方の極楽浄土へ行けるように,心から願い求めること。 浄土教で阿弥陀仏を信仰する基本思想を表す言葉:理想的安楽世界を喜び求め,往きて浄土に生まれることを願い意味 |
金剛不壊 | こんごうふえ | 非常に堅固で,壊れないこと。 志を堅く守って変えないことのたとえ。 仏教語 : 金剛は”堅固の意”の梵語を漢訳したことば |
斎戒沐浴 | さいかいもくよく | 神仏に仕えたり,神聖な仕事をする前に,飲食・行動を慎み,一定の規律に従って心身を清め,更に身体を洗ってけがれを去ること。 |
才気煥発 | さいきかんぱつ | 才知が優れていて,盛んに外に表れること。 煥発=火が燃えるように外面に輝き表れること |
才子多病 | さいしたびょう | 才知にたけた男は,とかく病弱であること。 |
採薪汲水 | さいしんきゅうすい | ごく一般的な日常生活の象徴。 |
西方浄土 | さいほうじょうど | 娑婆世界(この世)から西方に十万億の仏土を隔てた,かなたにあるという安楽の世界。 阿弥陀仏の浄土 |
左顧右眄 | さこうべん | 人の噂や考えを気にしてばかりいて,決断しないこと。 |
沙羅双樹 | さらそうじゅ | 釈尊がクシナガラ城外において,八十歳で入滅した(涅槃に入った)とき,その寝床の四方にあったという,同じ根から生えた二本ずつ八本のサラノキのこと。 入滅と共に,それぞれの片方が枯れたという。 |
三顧之礼 | さんこのれい | 目上の人が,目下の人に礼を尽くして仕事を引き受けてもらうこと。 目上の人が,目下の人を特別に信任したり優遇したりすること。 三国時代,蜀漢の劉備が,諸葛孔明の庵を三度も訪れて,ついに軍師として迎えた故事 |
三尺秋水 | さんじゃくしゅうすい | 長さが三尺もある研ぎ澄まされた刀剣。 秋水=冴えわたった色の形容,研ぎ澄まされた曇りのない刀身の光沢を表す |
三千世界 | さんぜんせかい | 広い世界。 仏教 : 宇宙についての単位。 須弥山(しゅみせん:世界の中心の山名)を中心とした広大な範囲=一小世界 これの千倍=小千世界 その千倍=中千世界 その千倍=大千世界または三千大千世界という。 |
山中暦日 | さんちゅうれきじつ | 世間から離れて山中にのんびり暮らしていると,歳月の過ぎ行くことを忘れるということ。 |
三百代言 | さんびゃくだいげん | 詭弁を操ること,また操る人。 無責任な弁護士のこと。 三百=銭三百文のこと,価値が低い,低級の意味 代言=弁護士のこと |
三位一体 | さんみいったい | 別々の三つのものが心を合わせて一つになること。 キリスト教 : 神(創造主としての父)と,神の子キリストと,信仰経験に顕示された精霊である神とが,唯一の神の三つの姿になって表れたとする説 仏教 : 仏は法身・応身・報身の三位に分かれるが,その元は一体であるとする考え |
三面六臂 | さんめんろっぴ | 一人で数人分の働きをしたり,多方面に活躍すること。 三つの顔と六本の腕とを一身に備えた仏像から来た言葉 |
尸位素餐 | しいそさん | ある地位について,その職務や責任を果たさず,ただ給料だけを貰っていること。 才能や功績もないのに,地位についていること。 |
四海兄弟 | しかいけいてい | 世界中の人々は,全て兄弟のように仲良く親しく付き合うべきだということ。 兄弟:”けいてい”は漢音 ”けいてい”は呉音 |
自家撞着 | じかどうちゃく | 同じ人の言動や文章などが前と後とで食い違い,つじつまが合わないこと。 自分で自分の言動を反省しててみると,矛盾に満ちていてつじつまの合わないことばかりだという反省の意も込められている。 |
自縄自縛 | じじょうじばく | 自分の言葉や行動・心がけによって,自分自身動きが取れなくなり苦しむこと。 もともと,そんな気はなく言ったりしたことによって,結果的に身動きが取れないようになるので,慎重に言葉に気をつけつつ話さなければならないという教え。 |
四書五経 | ししょごきょう | 儒学を学ぶための基本となる書物。 四書=大学・中庸・論語・孟子 五経=易経・書経・詩経・礼記・春秋 |
市井之徒 | しせいのと | 一般大衆。一般市民。 |
志操堅固 | しそうけんご | 志を堅く守って変えないこと。 その人をめぐる環境や事情が変わっても,辛さにじっと耐え,意思が強く,計画をしっかりとして,変えないこと。 |
七堂伽藍 | しちどうがらん | 宗派により種類や名称は異なるが,完全に堂塔が備わっている寺のこと。 五重塔・金堂・講堂・経堂・大門・中門・鐘楼など。 |
七難八苦 | しちなんはっく | いろいろな災難。 さまざまな欠点や難点。 七難=日月失度難・星宿失度難・災火難・雨水難・悪風難・亢陽難・悪賊難 八苦=生苦・老苦・病苦・死苦・愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦 |
七歩之才 | しちほのさい | 優れた作詩の才能。 作詩の早いことのたとえ。 魏の曹操の子,曹植が兄の曹丕にその才をねたまれ,七歩歩く間に詩を作れと命じられ,たちどころに作詩したという故事 |
四通八達 | しつうはったつ | 道路や鉄道が四方八方に通じて便利なこと。 人の往来が賑やかなところ。 繁華な土地。 |
事実求是 | じじつきゅうぜ | 事実に基づいて,物事の真理や真相を追究すること。 |
実践躬行 | じっせんきゅうこう | 自分で実地に行うこと。 人の力を借りず,実際に自分の力で行動してみること。 特に,高い目標や理念を掲げ,困難を乗り越える意気込みで,行為に表していく。 |
疾風迅雷 | しっぷうじんらい | 強い風と激しい雷。 事態の急変や行動の迅速さの形容。 |
疾風怒濤 | しっぷうどとう | ゲーテを中心とした十八世紀ドイツの文学革新運動の訳語『Sturm und Drang』 啓蒙主義に反対し,自然・感情・天才を重んじる。 |
櫛風沐雨 | しっぷうもくう | 風に髪を梳(くしけず)り,雨で髪を洗うこと。 外にあって風雨にさらされながら苦労することのたとえ。 |
紫電一閃 | しでんいっせん | 研ぎ澄ました刀を一振りするときに閃(ひらめ)く鋭い光。 その時間の短いこと。 事態の火急なこと。 |
舐犢之愛 | しとくのあい | 親牛が子牛を舐めて可愛がること。 親が子を深く可愛がることのたとえ。 |
四百四病 | しひゃくしびょう | 人間のかかる一切の病気。 人体を構成する地・水・火・風の四元素の不調により,それぞれの元素に百病が起こり,その元素と合わせて四百四病。 |
揣摩臆測 | しまおくそく | 自分の心で,他人の心をあれこれ推し量ること。 事情をあれやこれやと根拠もなく推察すること。 |
寂滅為楽 | じゃくめついらく | 煩悩の境界を脱し,涅槃の境地にいたって,初めて真の安楽があるということ。 生と死,苦悩,精神的混迷から抜け出して,不生不滅の悟りの境地に至ると,大いなる安心が得られ,そこに真の楽しみがあるとする。 寂滅=涅槃 |
酒酒落落 | しゃしゃらくらく | 性質・言動などがさっぱりとしていてこだわらないさま。 酒落(しゃらく)を強めて言う言葉。 |
寂光浄土 | じゃっこうじょうど | 仏の住んでいるところ。 衆生(しゅじょう)が解脱して,究極の悟りに達した境界。 寂=真理の寂静 光=真知の光照 |
衆寡不敵 | しゅうかふてき | 少人数は,多人数にはかなわないということ。 |
周章狼狽 | しゅうしょうろうばい | あわてふためく。 うろたえあわてて,適切な行動がとれない状態。 狽=狼の一種で,前足が極端に短く,いつも狼の後をうろたえながらついて行くという |
衆人環視 | しゅうじんかんし | 大勢の人が周囲を取り巻いて見ていること。 物事が白日の下にさらされていること。 |
秋霜烈日 | しゅうそうれちじつ | 刑罰・志操・権威などについて,極めて厳正で,しかも強大な威力のあるたとえ。 |
夙興夜寝 | しゅくこうやしん | 朝は早くから,夜遅くまで職務に没頭して精励すること。 |
守株待兎 | しゅしゅたいと | 古いしきたりにこだわって,融通の利かないことのたとえ。 偶然の幸せをあてにする愚かさのたとえ。 春秋時代の農夫の ”待ちぼうけ” の寓話 |
衆生済度 | しゅじょうさいど | 人々の迷いを救い,悟りを得させること。 仏道によって,罪業に陥っている人々を,迷いの苦界から救い出し,極楽の彼岸にわたすこと。 |
首鼠両端 | しゅそりょうたん | どちらともつかず,ぐずぐずと迷って,心や態度を決めかねているさま。 決断を下さず,形勢を見たり,日和見主義的態度をとること。 |
酒池肉林 | しゅちにくりん | 贅沢を極め,驕り高ぶった遊びのこと。 みだらな酒宴のこと。 殷の最後の王”チュウ王”は,豪奢で淫楽な遊びの限りを尽くし人民の恨みを買い,周の武王発に滅ぼされた |
春日遅遅 | しゅんじつちち | 春の日は,のどかで長く,うららかであること。 |
春秋筆法 | しゅんじゅうひっぽう | 歴史書『春秋』に,孔子の歴史批判が示されていることから,その文章表現に見られるような,公正で厳しい批判的態度を言う。 |
春風駘蕩 | しゅんぷうたいとう | 春の風がのどかに吹くように,春景色ののどかなさま。 人の態度や性格がのんびりとしていて,穏やかであることのたとえ。 |
醇風美俗 | じゅんぷうびぞく | 人情が厚く,うるわしく,優れた風俗や習慣。 |
情意投合 | じょういとうごう | 両者の間で,互いに気持ちや感情が通じ合うこと。 |
城下之誓 | じょうかのちかい | 城の下まで敵軍に攻め寄せられて,仕方なく講和(降伏)の盟約をすること。 |
城孤社鼠 | じょうこしゃそ | 自分の身を安全なところに置いて悪事をする者。 主君の側にいて悪事をする奸臣。 |
盛者必衰 | じょうしゃひっすい | 勢いの盛んな者は必ず衰えるということ。 この世の無常を言う言葉。 |
生者必滅 | しょうじゃひつめつ | 生命あるものは必ず死ぬときがあるという事実。 人生の無常。 ”生者必滅・会者定離” |
常住坐臥 | じょうじゅうざが | 座っているときも,寝ているときも。 いつも,ふだん。 坐臥=寺僧が一寺に定住して行脚しないこと → 永遠に不変であること |
霄壤之差 | しょうじょうのさ | 天と地の隔たりほどのはなはだしい差があること。 霄=天上・空 壤=土地 |
小人閑居 | しょうじんかんきょ | 小人物は暇でいるとろくな事をしない。 小人は人が見ていないことをよいことに,とかく悪事をはたらく。 |
精進潔斎 | しょうじんけっさい | 飲食・行為を慎み,心身の穢れを避けること。 仏教語:一心に仏道修行に励むこと。 |
小心翼翼 | しょうしんよくよく | 気が小さくていつもびくびくしているさま。 本来の意味:細かいことにまで気を配り,慎み深くするさま → 現在は,人を悪く言う言い方 |
掌中之珠 | しょうちゅうのたま | 手の内にある珠玉のように大切な,大事なもの。 |
焦眉之急 | しょうびのきゅう | 非常に差し迫った急場。 仏教語:人はいつ死ぬか分からない身なのであるから,後生の大事(来世の安楽)を願うことが何より急務である |
諸行無常 | しょぎょうむじょう | 世の中の一切のものは常に変化し,永久不滅なものはない。 仏教の根本主張の三法印(諸行無常・諸法無我・涅槃寂静)の一つ |
助長抜苗 | じょちょうばつびょう | 早く成果を見ようとして,無理に外から力を加え,かえってそれを害すること。 春秋時代の宋:農夫が苗の成長を助けようと考えて,全部の苗を引っ張ったところ,苗は全部枯れてしまったという寓話 |
白河夜船 | しらかわよふね | ぐっすり寝込んでしまい,何が起こったか全く知らないこと。 京都を見たと嘘をついた人が,地名の白河のことを聞かれ,河の名前だと思って『夜船で通ったから様子が分からなかった』と答えた |
事理明白 | じりめいはく | 物事の道理や筋道が非常にはっきりとしていること。 事理=現象と本体という仏教語 |
神韻縹渺 | しんいんひょうびょう | 芸術作品あるいは人格などが,極めて優れていて,人間の枠を超えていると思われるような高い趣。 |
人口膾炙 | じんこうかいしゃ | 広く世間の人々の話題になる。 人々からほめられる。 膾=なます 炙=あぶり肉 |
唇歯輔車 | しんしほしゃ | 相互の利害が密接していて,一方がだめになれば他方も旨く行かなくなるというような,離れれられない関係のたとえ。 持ちつ持たれつ。 |
神色自若 | しんしょくじじゃく | 大変な事態に出会っても精神が冷静で,顔色がいつもと変わらないこと。 |
薪水之労 | しんすいのろう | 人に仕えて日常の雑事などに骨身を惜しまず働くこと。 |
身体髪膚 | しんたいはっぷ | からだ全体。 |
震天動地 | しんてんどうち | 大変な出来事。 大事件が起こったときの形容 |
神仏混交 | しんぶつこんこう | 本字衰弱説(神は仏が衆生を救うため仮に姿を現したものであるという思想)から,神道と仏教とを同じところに祭って信仰すること。 南北朝時代にはじまり,明治元年の神仏分離令で禁止 |
深謀遠慮 | しんぼうえんりょ | 遠い将来まで見通して,深く考え,計画を立てること。 遠慮=遠くおもんぱかる |
唇亡歯寒 | しんぼうしかん | 互いに関連しあっているもの同士が,一方が崩れると他方も危なくなってしまうたとえ。 |
尽未来際 | じんみらいさい | 永遠の未来。 時間の続く限り。 仏教語=請願を立てるときなどに,『永久に』の意味で使う |
森羅万象 | しんらばんしょう | 天地間のあるとあらゆる事物や現象。 森羅=樹木が限りなく茂り並ぶこと 万象=万物の意味 |
酔眼朦朧 | すいがんもうろう | 酒に酔って,目がとろんとして焦点が定まらず,ものがはっきり見えないさま。 |
水魚之交 | すいぎょのまじわり | 友情や交際などで,切っても切れない間柄。 蜀の劉備が諸葛孔明を軍師に招いたとき,関羽と張飛の二勇将がねたんだ。それに対し劉備が『自分が孔明を得たのは,魚が水を得たようなものだから,二度と非難しないでくれ』と言った |
酔生夢死 | すいせいむし | 何をするでもなく,無駄に一生を送る者。 |
水天彷彿 | すいてんほうふつ | 遠い沖合いの水面と空とがひとつづきとなって,水平線の見分けがつかないこと。 ぼんやりとして,はっきりとしないさま。 |
吸毛求疵 | すいもうきゅうし | 他人のちょっとした欠点を無理にあばこうと追求すること。 人の隠し事を探し出そうとして,かえって自分の欠点をさらけ出すこと。 |
寸善尺魔 | すんぜんしゃくま | 良いことは,とかく妨げが多く成就しがたいこと。 |
寸鉄殺人 | すんてつさつじん | 短くて要を得た言葉で,相手の急所や欠点を突き,心服又は敗北させること。 |
井蛙之件 | せいあのけん | 井戸の中に住み着いている蛙に海の話をしても通じない。 → 狭い了見 『荘子』の春秋篇 『井蛙は以って海を語るべからず』 |
臍下丹田 | せいかたんでん | へそより少し下のあたりのこと。 腹式呼吸をしながら,この部分に力を入れると健康に良く,元気・勇気も出ると言われる |
清濁併呑 | せいだくへいどん | 善でも悪でもあるがままに,分け隔てなく受け入れること。 濁の受入れはぬずかしく,そこでその人の度量がはかられる |
青天白日 | せいてんはくじつ | 心にやましいことがないこと。 無罪が明らかになること |
青天霹靂 | せいてんへきれき | 快晴の青空に,突然鳴り響く雷。 → 突発的なできごと 本来の意味=筆勢が伸びやかで躍動的であることのたとえ |
積善余慶 | せきぜんよけい | 善行を重ねた結果として,良いことが起こること。 ”積善の家には必ず余慶あり” |
折檻諫言 | せっかんかんげん | 家来が,主君を強くいさめること。 → 目上の人に対して忠告すること 現在の用法=親が子などを厳しく責め叱ること |
切歯扼腕 | せっしやくわん | 非常に悔しくて,残念がる様子。 扼腕=左手で右腕を握り締める意味 |
殺生禁断 | せっしょうきんだん | 仏教の慈悲の精神から,鳥・獣・魚などの狩猟や殺生を禁じること。 |
世道人身 | せどうしんじん | 世の中の守るべき道徳と,それを守る人の心 |
浅学菲才 | せんがくひさい | 学問が浅く未熟であること。そのような人。 自分の学才をへりくだっていう場合に用いる言葉 |
千軍万馬 | せんぐんばんば | 戦場での戦闘経験などが豊富である → 社会経験などが豊で場慣れしていること。 |
千言万語 | せんげんばんご | 極めて多くの言葉。 あれこれと言葉を尽くして言うこと。 |
千古不易 | せんこふえき | 永久に変わらないこと,またそのさま。 |
千思万考 | せんしばんこう | いろいろと念入りに思い巡らすこと。 |
千紫万紅 | せんしばんこう | 様々な色や,色とりどりの花。 色とりどりの花が咲き乱れること。 |
千姿万態 | せんしばんたい | 色々様々な姿や形。 |
先従隗始 | せんじゅうかいし | 物事を始めるには,まず言い出したものから着手すべきだということ。 燕の昭王が天下の賢者を集めようと郭隗にたずねると ”先ず私を優遇しなさい” と答え,王はそうしたところ,噂を聞いて天下の英傑が昭王に参集した |
千秋万歳 | せんしゅうばんざい | 非常に長い年月。 → 長寿を祝う言葉 |
千辛万苦 | せんしんばんく | 様々な難儀や苦労を重ねること。 ひどく苦労して辛酸を舐めること。 |
千編一律 | せんべんいちりつ | 多くの詩・文章がどれも同じ調子で変化のないこと。 → 物事がどれも一様で変化がなく,面白みのないこと。 |
千万無量 | せんまんむりょう | はかり知れないほど,非常に数の多いこと。 言い尽くせないほどたくさんあること。 |
先憂後楽 | せんゆうこうらく | 心配事や困難で苦しいことは,先に片付け,楽しみは後回しにすること。 |
千里同風 | せんりどうほう | 天下泰平の平和なさま。 広い地域が同じ風俗であること。 |
千慮一失 | せんりょいっしつ | いかなる賢者・知者にも,多くの考えの中には,一つくらいは誤りがあるということ。 充分に考慮したつもりでも,思いがけない失敗があること。 |
喪家之狗 | そうかのいぬ | 見る影もなく落ちぶれやつれた者。 喪中の家では,悲しみのあまりイヌの世話を忘れてしまい,イヌがやせ細ってしまう。 |
創業守成 | そうぎょうしゅせい | 事業を始めること,それを受け継ぎ拡充発展させること。 事を始めるのはたやすいが,それを継続し発展させることは難しい。 唐の太宗が名臣たちに創業と守成のいずれが困難かを問うと,房玄齢(創業に活躍)は『創業こそ』と,魏徴(国家安定に活躍)は『守成こそ』と答えた。太宗はどちらも大事にして慎重にやっていこうと話しを結んだ |
造次顛沛 | ぞうじてんぱい | 非常に短い時間,つかの間のこと |
宋襄之仁 | そうじょうのじん | 不必要な哀れみ。 春秋時代,楚の襄公が『君子は人の逆境につけ込まない』としていたら楚軍に逆襲され負けてしまった。 |
漱石枕流 | そうせきちんりゅう | うまくこじつけて,言い逃れをすること。 負け惜しみの強いこと。 夏目漱石のペンネームに用いられている |
滄桑之変 | そうそうのへん | 世の中の移り変わりが激しいことのたとえ。 青い大海原が一夜にして干上がり桑畑となること |
造反有理 | ぞうはんゆうり | 反逆には必ず道理があること。 毛沢東が文化大革命のときに革命派を激励した言葉 |
草莽之臣 | そうもうのしん | 官に仕えることなく,民間にある人。 臣下が自分をへりくだっていう言葉 |
惻隠之心 | そくいんのこころ | ある対象に対し,同情や哀れみの情をもつこと。 孟子:『惻隠の心は仁の端なり』 |
即身成仏 | そくしんじょうぶつ | 一般の愚かな人(凡夫)でも,この世において悟りを開き仏となりうること。 現在のこの肉身そのままで,本来悟りを開き仏となっていること。 真言密教:『身口意の三業を仏と一致させること:口に真言,手に結印,心を統一』 |
則天去私 | そくてんきょし | 天意に従い,私心を捨てて生きること。 自我を去って自然の中に物事を極めること。 |
樽俎殺生 | そんそせっしょう | 宴会で談笑のうちに交渉を進め,武力を用いないで敵の兵力をくじくこと。 樽俎:酒樽と肉料理をのせる器 |
大喝一声 | たいかついっせい | 大きな声で一発どなりつけること。 禅宗:修行者の心の迷いをしかりつけ,悟りへの道へ導くときに『喝』と唱えて,励ます |
大言壮語 | たいげんそうご | その人に不相応な,大きなことを言うこと。 実力もないのに,いかにも偉そうに何でもできるかのようなことを言うこと。 |
大悟徹底 | たいごてってい | 心の迷いを打破して,真理を悟得し,どんな疑惑もなくなること。 |
泰山北斗 | たいざんほくと | ある分野で最も高く尊ばれ,仰がれる人。 泰山=中国山東省の名山 北斗=北斗七星 |
大山鳴動 | たいざんめいどう | 物事の起こる前触れの騒ぎが仰々しいこと。 ローマの詩人ホラテイウス『山々が産気づいて,滑稽な二十日鼠が一匹生まれる』より |
大慈大悲 | だいじだいひ | 広大無辺な仏の慈悲。 観世音菩薩の慈悲又は観世音菩薩そのものをさす。 |
大声疾呼 | たいせいしっこ | 大きな声で,あわただしく早口で呼ぶこと。 |
高手小手 | たかてこて | 両手を背中の後に廻し,肩からひじ・手首に紐や縄をかけて,厳重に縛り上げること。 |
多岐亡羊 | たきぼうよう | 学問の道があまりに多方面に分かれているために,真理を得ることが難しいたとえ。 戦国時代の揚子の隣家から逃げ出した一匹の羊を大勢で追いかけて探したが,分かれ道が多くついに見失ってしまったことを聞いて,学問の道を嘆いた故事。 |
惰気満満 | だきまんまん | 怠ける気持ちがいっぱいあり,しまりのないさま。 |
他山之石 | たざんのいし | 他人を参考にして,自己の向上発展に役立てること。 『他山の石以って玉を攻むべし』=よその山からでた粗末な石でも,自分の宝玉を磨くときに砥石に使えば役に立つ |
多士済々 | たしせいせい たしさいさい |
優秀な人材が多いさま。 周の文王は多くの賢士をうまく使い,立派な政治をした |
多事多端 | たじたたん | 仕事が多く,非常に忙しいこと。 手紙文で『多事多端の折』と用いる |
多情多恨 | たじょうたこん | 物事に深く感じやすく,恨み多いさま。 愛情の強いが恨みも深いこと |
多生之縁 他生之縁 |
たしょうのえん | この世に生まれ出る前からの,多くの生を経る間に結ばれた因縁。 『袖振り合うも多生の縁』 |
多情仏心 | たじょうぶっしん | 感じやすくて,すぐ他のものに心を移しがちだが,薄情なことは出来ない性質。 多情なことがすなわち仏心であるということ |
他力本願 | たりきほんがん | 自己に捕われない真実の願い。 他人まかせ。 仏教語:阿弥陀仏の本願に頼って極楽往生の望みを遂げること |
断簡零墨 | だんかんれいぼく | 古人の書き記したものが切れ切れになったもの。 |
胆大心小 | たんだいしんしょう | 大胆でしかも細心の注意をはらうこと。 文章を書くときの戒めの言葉 |
談論風発 | だんろんふうはつ | 盛んに話し合い,論じ合うこと。 |
知行合一 | ちこうごういつ | 『知行合一説』の略,人間の認識と実践は本来一つのものであり,二つに分けられないとする陽明学の学説。 朱子の先知後行説に対し,陽明は道徳的実践や体験による知識の同時確認を説いた |
魑魅魍魎 | ちみもうりょう | 山野にいる妖怪変化や化け物のこと。 我利我欲のために悪だくみをして,人を迷わせ苦しめる悪人ども 魑魅=山林の異気から生じる怪物で,人を害する 魍魎=山川や木石の精霊 |
知友兼備 | ちゆうけんび | 智恵と勇気とを併せ持っていること。 才色兼備に対する男性の理想像 |
朝雲暮雨 | ちょううんぼう | 男女の堅い契り・情交のこと。 楚のかい懐王が高唐に遊び,昼寝の夢で美女と契った。美女が分かれに『朝雲暮雨となってお目にかかります』といった。王は朝雲が掛かるのを見て,彼女が神女であることを知り,巫山の南に廟を建てたという故事 |
朝三暮四 | ちょうさんぼし | 人を口先で騙したり,愚弄したりすること。 飼っている猿に ”トチの実を朝に3,暮れに4やろう” としたら大変怒ったので ”朝に4,暮れに3” といったら喜んだという寓話 |
張三李四 | ちょうさんりし | どこにでもいるようなありふれた人。 平凡なつまらぬ人のたとえ |
彫心鏤骨 | ちょうしんるこつ | 心に彫りつけ,骨に散りばめること。非常に苦心すること。 非常な苦心をして詩文を磨き上げること |
頂門一身 | ちょうもんいっしん | 人の急所をついた,痛切な戒めのたとえ。 痛いところをつく教訓 |
直情径行 | ちょくじょうけいこう | 感情の赴くままに行動すること。 浅はかで単純な行動のたとえ |
泥中之蓮 | でいちゅうのはす | 悪い環境にいてもそれに感染しない,立派な生き方のたとえ。 宋学の祖の『愛蓮の説』:”余はひとり蓮の泥沼より出づるも染まらざるを愛す” |
転禍為福 | てんかいふく | 身に降りかかった禍をうまく変えて,幸いとなるように取り計らうこと。 |
天空海闊 | てんくうかいかつ | 空は雲ひとつ無く,海も洋々としてしているさま。 気性がからりとしていて,何のわだかまりも無いこと。またそのように度量が大きく大らかで小事にこだわらないこと |
天壌無窮 | てんじょうむきゅう | 天地と同じようにきわまることなく永遠に続くこと。 |
点滴穿石 | てんてくせんせき | 微力であっても,それがたび重なると予想もつかないような大きなことを成し遂げる。 |
輾転反側 | てんてんはんそく | 眠れなくて何度も寝返りをうつこと。 終夜思い悩んで眠れないさま |
天馬行空 | てんばこうくう | 何物にもとらわれず,自由に着想し縦横に振舞うさま |
田夫野人 | でんぶやじん | 教養のない粗野な人間。 無風流な人 |
天網恢恢 | てんもうかいかい | 天が悪人を捕らえるために張る網の目は,粗くて大きいが,結局取り逃がすことがない。 『天網恢恢,疎にして漏らさず』 |
天佑神助 | てんゆうしんじょ | 天の助けと神のご加護。 |
当意即妙 | とういそくみょう | その場に応じた,旨い機転。 即座の機転 |
灯火可親 | とうかかしん | 秋は気候がよく夜も長いので,灯火の下で読書するのに最適である。 |
同工異曲 | どうこういきょく | 似たり寄ったり。 少しの違いはあるが,大体は同じであること。 音楽や詩文などで,技巧は同じなのに,表現された趣や味わいが違うこと |
道聴塗説 | どうちょうとせつ | 路上で聞いた話を,またすぐ知ったふりをして路上で他人に話すこと。 善事を聞いても,それを心にとどめて自分のものにしないこと |
桃李成蹊 | とうりせいけい | 立派な人は,何も言わなくても,その徳を慕って自然と人々が集まってくるたとえ。 人格者は,不言のうちに人を心服させるというたとえ |
蟷螂之斧 | とうろうのおの | 力の弱いものが,自分の力量をわきまえず,むやみに強者に向かうたとえ。 斉の荘公が狩猟に出かけたとき,一匹の虫が前足を上げて車輪を打とうとした。荘公が御者に尋ねると『カマキリといって,進むことを知って退くを知らない虫です』と答えた。荘公は”人間なら必ず天下の勇者になれたであろう”と言い,車を迂回させた |
徒手空拳 | としゅくうけん | 手に何も持っていないこと。 事業などを始めるときに,地位や資本などがないこと。 |
屠所之羊 | としょのひつじ | 屠殺場に引かれていくヒツジの哀れな姿。 刻一刻と死に近づく人の命のはかなさや無常。 |
怒髪衝天 | どはつしょうてん | 激しい怒りを形容する語。 髪の毛が逆立ち,天をも突くほどに激しく怒るさま。 趙の使者りん相如は秦王が和氏の璧と交換に秦の十五城を渡すとの約束を守らないので,偽って璧を取り返し,柱を背に仁王立ちとなって激怒した故事 |
左見右見 | とみこうみ | あちらを見たり,こちらを見たりすること。 アチコチに気を配るさま |
呑舟之魚 | どんしゅうのうお | 舟を丸ごと一呑みにしてしまうような大魚。 良くも悪くも大人物,傑者,大物のたとえ |
頓証菩提 | とんしょうぼだい | ある時,突然,すみやかに仏道の悟りの境地に達すること。 追善回向の功徳によって,亡者の霊が成仏するように祈る言葉 |